マーケットレポート

マーケットの視点

波乱展開の中でも結果的に欧米株市場は堅調、今来週は夏休みモードに入り9月上旬のイベントに焦点が集まる展開に

・先週は“上下いずれも波乱展開”と予想したが、まさにそのような展開になった。先週指摘した2つの米国重要指標と欧米イベントの結果は“1勝3敗”、まず1日発表の米国の「6月のISM製造業景況感指数」は“49.8”と市場予想の50.2を下回って6月49.7に続き2カ月連続で景気判断の分かれ目となる50を下回り再び米国景気への不安が高まった。7月31日~8月1日に開催された米FOMC後の声明では「足下の米国経済の回復の勢いはこれまでに失速したとの認識を示し今後は債券の追加買い入れを行う可能性をより強く示唆したものの、新たな具体的対策を示さず追加緩和を見送った」ことで失望感が漂い、2日開催のECB(欧州中央銀行)理事会後の会見でドラギ総裁は「流通市場におけるイタリア、スペイン国債の買い入れに向け準備を進めていると明言する一方、ユーロ圏政府がまず救済基金を利用することが前提になると述べるなど、ECBの買い入れに条件をつける考えを示し、ECBによる市場介入は、当該国が要請し厳格な条件および監督を受け入れることが必要になると説明、開始時期は早くて9月になる」と発言したに止まり、利下げが見送られたことと、この発言内容によって7月26日のロンドンでの講演での「ユーロを守るためにECBはあらゆる手段をとる用意がある」との発言で大きく膨らんでいた期待からは一転、肩透かしを食らった格好になった。

・と、ここまでは重要指標・イベントの結果による“3連敗”で米国株3市場は2日まで4日続落、独DAXも3日続落となった。しかし、3日に発表された米国の「7月の雇用統計」が一気に明るいムードへと一変させた。失業率は8.3%と6月8.2%からは悪化したものの、非農業部門雇用者数が“16万3000人の増加”と3カ月連続の10万人割れを脱して過去5カ月で最も大幅な伸びとなり、かつ事前予想の10万人増を大きく上回った。前回の6月統計が逆に事前予想を大幅に下回りマーケット暗転の結果となったのとは大違いで、悲観ムードを一掃した。週末のNYダウは“217.29ドル高”、NASDAQ“58.13ポイント高”、オリンピックで賑わうロンドンの英FTSE100は“124.98ポイント高”、ECBお膝元の独DAXは“259.57ポイント高”と欧米株市場は一気に息を吹き返し、結果的にNYダウ、独DAXとも4週連続、NASDAQは3週連続、英FTSE100は3週間ぶりの上昇となった。一方、日本株市場は円高が重石となり、海外情勢を不安に眺めながら一進一退が続き、週末はその晩に発表される米国雇用統計への警戒心もあって前日比“98.07円安”で引け、結果的に4週連続の下落となり欧米株市場とは対照的な動きとなった。残念ながら、日本株市場は円高定着で視界不良の状態が続き、なおかつ常に“次に起こる欧米の出来事”に対して構えながらのマーケット展開が続くことでスッキリしない状態が長引いている。

・今来週は、サマーバケーション到来、海外投資家のみならず欧米首脳陣も日本とは違って長い夏休みをとることもあってさしたるイベントもなく、日本のお盆休みを挟んで“夏休みモード”の展開になりそうだ。8月は2000年以降、昨年までに12回中10回まで対ドル円高となっており、円高になる確率が極めて高い。元々は米国債の利払いが8月中旬に行われることが理由らしいが、昨今は投資家が夏休み中の対応のために一旦、安全資産としての円に傾けておいて夏休みを過ごすためだとの指摘もある。今年も余程のことがない限りは少なくとも円安に大きく振れることはないだろう。今後の焦点は9月6日のECB理事会、9月12~13日の米FOMC、そして9月12日の独憲法裁判所の結果に世界の注目が集まることになろう。ECBが追加利下げに踏み切り南欧国債買い入れの具体策を示すか、QE3を温存し続けているFRBが金融緩和モードを一気に高めることになるかどうか、独憲法裁判所がESM(欧州安定メカニズム)を違憲ではないとの結論を下すかどうか、夏休み明けに再び賑やかになりそうだ。もっとも、その前に8~9日に日銀金融政策決定会合があり、12日にインドネシア、10~11日にブラジル、12日に韓国において各々の中央銀行政策決定会合が開催されることから、白川総裁の発言、それぞれの国が“利下げ”に踏み切るかどうかに注目したい。

決算概要~コマツの大幅下方修正に中国市場の厳しさが滲み、家電3社は大きく明暗が分かれ、自動車は絶好調の模様

・先週までの決算発表では、コマツの大幅下方修正には中国市場の厳しさが色濃く滲み出てきた。同社は13.3期売上高を1300億円下方修正(2兆1000億円→1兆9700億円)してきたが、内訳は地域別に中国500億円、アジア500億円、欧州100億円、北米70億円、CIS30億円、商品別では建機800億円、鉱山機械400億円の下方修正。期初時点では中国動向は不透明としていたが、この3カ月間の結果で中国市場の回復は容易ではないとの判断を下したようだ。何より、期初の説明会では鉱山機械は絶好調が続くと豪語していたのが一転、大幅な下方修正となったことはショックだ。建設機械、鉱山機械は「設備投資」対象的な製品であり、一つの方向に転換すれば暫くはその方向への流れが続くだけに、上昇転換には時間が掛かりそうだ。但し、コスト管理が徹底していることと、リーマン・ショック時とは違って一定以上の需要は発生し続けること、昨今のコマツは部品・メンテナンス部門が収益を大きく支えており、今後、一気に収益急落となる危険性はないものと予想する。

・苦境の家電3社の決算は大きく明暗を分けた。13.3期見通しをシャープ、ソニーは下方修正、パナソニックは据え置いた。シャープは経常利益を200億円赤字→1400億円赤字、当期利益を300億円赤字→2500億円赤字と非常にショッキングな下方修正、ソニーは同じく1900億円→1500億円、300億円→200億円へと黒字確保だが第1Qで早くも下方修正せざるを得ないということは混迷状態が続いていることを物語る。ソニーは、なお不透明感が根強い。シャープは決算発発表後に台湾・鴻海精密工業からの出資問題も浮上している。確かに最初の契約時は株価550円での出資に合意したかもしれないが、出資して即に大幅減損ではいくらなんでも無理があり、シャープの訴えは余りにも苦し紛れの感が強い。今回のシャープの決算説明会に出て感じたことは、以前、三洋電機の“最後の決算説明会”に出た時に感じた異様な雰囲気と同じようなものを感じたことだ。今回がシャープの最後の決算説明会になるとは思えないが、相当に追い詰められていることは確かのようだ。それに比べれば、ソニーはエレクトロニクス部門が確かに厳しい状態が続いてはいるが、金融、映画、音楽などキャッシュフロー収入源の点で多様性があり、エレクトロニクス製品群の中でも高採算を維持している製品、販売好調な製品が存在しているだけに、早晩に復活する可能性は充分に高いと言えそうだ。パナソニックは、売上高を捨ててまでも収益改善を追求する姿勢が徹底している。更に、幸いなことは三洋電機、パナソニック電工との事業統合の途上にあり、事業内容の見直しを一層、徹底し易い段階にあったことで、立ち直りは早そうだ。

・自動車は、ホンダが第1Qの実績が市場予想を下回ったとして株価は売られたが、第1Qの実績は充分以上の結果であると判断される。足下の国内の軽四輪車の「NBOXシリーズ」は絶好調であり、秋に米国市場に投入する新型「アコード」に対しては絶対的な自信を持っているようで、13.3期通期見通しに対しては現時点、充分に上方修正が期待されると予想され、不安は無用という印象は強い。一方、トヨタは第1Qの営業利益が3531億円と通期計画1兆円に対して進捗率35%、当期純利益2903億円も通期計画7600億円に対して進捗率38%、しかも12年のダイハツ、日野を含めたグループ世界生産台数が2012年に1005万台と過去最高の07年950万台を上回り、世界の自動車産業の中で1グループとしては初めて1000万台の大台を突破する見通しであり、販売台数も従来計画を18万台上方修正し976万台になると公表した。早くも、販売、生産台数の世界トップの座を奪回する可能性は高まったと言える。13.3期の通期計画に対しては、下期以降を相当、慎重に見ていることから見通しを据え置いたと主張しているが、やはり、充分に増額修正が期待されそうだ。わが国自動車業界は、エコカー補助金が停止された後の国内市場の急落、欧州・中国市場の停滞などの不安材料がありながらも、円高を克服し、単に大震災、タイ洪水からの回復に止まることなく、日産自、ホンダ、トヨタとも史上最高の生産、販売台数になり、収益急上昇するなど、その勢いは凄まじい限りで、もっと評価されるべきと考える。

(中島)


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