マーケットレポート

マーケットの視点

日銀の金融緩和策強化でも円高消えず中国リスクの高まりで日本株は重い展開続くが、株価低迷の注目株を見直したい

・先週の世界株市場は全般的に一進一退となった中で、上海総合指数が20日に9月5日の年初来安値を更新し週間ベースで前週末比4.57%下落となり中国株の弱さが目立った。“リスク・オン”の流れの中で出遅れ感の強い日本株への期待も高まったが、先週末の日経平均株価は「9110円」、前週末比0.54%下落と3週間ぶりに下落して終え、勢いが続かない。ECB、FRBと続いた金融緩和策強化の流れに逆らうまいと、日銀も18~19日の金融政策決定会合で予想外の金融緩和策強化を決め、19日に白川総裁が発表した。具体的には「資産買い入れ基金を10兆円増額して80兆円とする」ことが柱。10月30日に予定されている「経済・物価情勢の展望」の公表タイミングで金融緩和策強化を発表するとの予想を覆した格好だ。白川総裁は、輸出主導の景気回復シナリオを描いていたのに対して海外経済の減速が強まっているためと説明したが、欧米中銀が先行して大胆な金融緩和策強化に動いたことで一段の円高が進みかねない状況となったことも大きい。しかし、片や“無制限”に対して日銀“10兆円”ではいかにも分が悪い。極端な円高進展を回避する効果はあったものの、円安反転への期待を醸成するには力不足であり、日本株市場が上昇トレンドに乗り切れない大きな足枷となった。そこへ、20日にHSBCが発表した中国の「9月の製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値」が“47.8”と8月の確定値に比べ0.2ポイント改善したが11カ月連続で景気判断の分かれ目である50を下回ったことで中国経済の減速懸念が強まり、アジア株市場が全般に下落歩調となったことで20日の日経平均株価も“145.23円安”と大幅安となってしまった。

・結局、“円高と中国リスク” が日本株の重石となっている。対ユーロは先週も何とか101円/ユーロ円台を保ったが、再び100円割れのユーロ安に陥りかねない。今週の25~27日にかけてスペイン国債、イタリア国債の入札が相次ぐが、まずその結果が気になる。また、スペインはECBの南欧債券購入策に対して厳しい財政再建策の強要を避けるために今のところ支援要請を見送っているが、28日にスペイン国内銀行のストレステスト(健全性審査)の結果が発表され、その結果を受けて米ムーディーズが同国の国債格付けの見直しを行う予定であり、現在の「Baa3」から格下げとなれば投資不適格であるジャンク級となり、スペイン国債の利回りが再び急上昇することもあり得る。そうなれば、せっかく落ち着いた欧州不安が再燃することになりかねない。また、今週は米国で住宅関連指標が多く発表されるが、一連の指標で弱い数字が発表されれば対米ドルは一気に77円/米ドル台への円高に振れる可能性もある。また、中国では「一兆元の公共投資」のアナウンス効果が弱く、マーケットは更なる大型景気対策を要求しているようだ。ただ、中国では9月30日が中秋節、10月1~7日までが国慶節で8連休となる。そして、その後に5年に1度の中国共産党第18回全国大会が開催され、指導者層の交代が実施される予定である。新政権がスタートするまでは抜本的な景気対策等を打ち出すことは難しいものと予想される。従って、当面は中国リスクが一気に払拭される可能性は低く、その一方で、落ち着いていたはずの欧州・米国リスクが強く意識される展開もあり得ることから、引き続き日本株市場は頭の重い展開になりそうだ。

・しかし、欧・米・中リスクが悪化の一途を辿るとは思えず、必ずや好転の時は来る。とりわけ、中国リスクは利下げや今回の一兆元投資の効果はこれから実現するものであり、新政権への期待も高まることになろう。中国需要不振で大幅下方修正したコマツ、欧州・中国のダブルダメージで株価低調が続くダイキン、中国の供給過剰による市況悪化で厳しい新日鉄、中国減速で世界貿易量の更なる減退を懸念されている商船三井などは、そろそろ買いのタイミングを窺う段階に入りつつあるのではないかと考える。また、先週も米国2社の買収を発表した日本電産は今年に入って6社、約900億円の買収を実施したことになる。いずれも中大型モーターで産業・商業・家電分野に特化したM&Aで従来の事業補完効果が大きい上に高収益性を追求出来る案件であり、同社の収益力を一層向上させかつ安定性を高めることが期待される。また、ソニーが18日に終値ベースで7月11日来、ほぼ3カ月ぶりの1000円台を取り戻したが、最近、9月以降に新製品攻勢が目立っていることに気が付いた。一連の新製品を見ていると、ここ数年の停滞を脱するような画期性の高いものが目立っており、「4Kテレビ」の年内発売を発表、オリンパスへの出資決定など、“復活”への期待は高まっている。

(中島)

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