マーケットレポート

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IMFが世界経済見通しを下方修正、国内外で悲観的なニュースが続き追い込まれる日本、今週も厳しい展開が続く見通し

・48年ぶりに東京で開催されたIMF・世銀総会は本来、エジプトで開催される予定だった。しかし、軍部クーデーター勃発で政情不安が続いていることから、代わりに東京が名乗りを上げた。東日本大震災、福島第一原発事故で日本での国際会議の開催が少なくなっていたことへの配慮もあった。すなわち、今回の東京開催では「平和で豊かな日本、震災からの力強い復興」を世界に向かってアピールすることも目的の一つであったはずだ。しかし、直前に竹島、尖閣諸島問題で韓国、中国との諍いが世界のニュースとなってしまい、揚句には中国の国営大手銀行が揃って不参加を表明、謝旭人財政相と中央銀行「中国人民銀行」のトップである周小川総裁も参加を見送る事態となってしまった。世界経済減速の危機に際して、今や中国の役割は極めて大きい。新興国の財務相・中銀総裁を対象とする日本の産業界ツアーなどを含めて、様々な催し物の用意など、日本としては準備万端整えたのだろうけど、世界最大の“国際金融会議”としては画竜点睛を欠く結果となったことは悔やまれる。更に、民主党政権は最早身動きの取れない状況まで追い込まれ、臨時国会開催の目途が立たず、赤字国債発行のための特例公債法案が棚上げのままであり、平成25年度予算案の先行きも見えない。日本の存在感を示すことが出来ないままに閉会となった印象が強い。

・国内外では悲観的なニュース一色のような展開となっている。世界銀行が日本を除く東アジア・太平洋地域の経済成長率を下方修正したのに続き、IMFが世界経済見通しを軒並み下方修正した。7月時点の予測に対してわずか3カ月余での下方修正で、短期間に世界経済の雲行きが怪しくなっていることを表している。世界全体では12年3.5%→3.3%、13年3.9%→3.6%、新興・途上国を5.6%→5.3%、5.8%→5.6%、中国を8.0%→7.8%、8.4%→8.2%、日本を2.4%→2.2%、1.5%→1.2%、米国は2.1%→2.2%と12年を上方修正したが2.2%→2.1%と13年の成長率が鈍化、ユーロ圏は-0.3%→-0.4%、0.7→0.2%と13年が連続マイナス成長になりかねない。日本が13年の成長率がダウンするなど、全般的に13年の回復力が鈍いことが気懸りだ。9日に発表した米アルコアの12年7~9月期決算はアナリスト予想の平均を上回ったものの、売上高は前年同期比9%減、純利益は1億4300万ドルの赤字と前年同期の1億7200万ドルの黒字からは大幅に悪化した。また、クラウス・クラインフェルトCEOはアルミニウム需要の長期見通しは据え置き2010~20年の間に倍増するとしているが、足下では中国経済減速の影響が大きいことから供給過剰感が依然強く、価格低迷が続くと厳しい見方をしている。

・国内では、9月28日に発表された「8月の鉱工業生産」が前月比1.3%減と7月の同1.0%減に続き2カ月連続の前月比マイナス、生産予測調査では9月が同2.9%減、7~9月期が3.6%減と4~6月期の2.0%減からの低迷が続き、10月も同0.0%と厳しい状況が続くとの見通しだ。また、先週の11日に発表された「8月の機械受注統計」は市場予想の2.3%減を下回り3.3%減で、中でも製造業が15.1%減、外需が14.7%減の大幅減で先行きへの悲観ムードが募っている。12日には内閣府発表の「10月の月例経済報告」で3カ月連続して景気の基調判断を引き下げ、“回復の動き”から“弱めの動き”に表現を変えた。依然として外需依存度の大きいわが国経済にとっては、欧州発の世界経済減速の影響は大きく、既に『景気後退期』に入っているとの主張もある。まして、日中関係悪化の影響がボディブローのように効いて来れば、日本経済を一層、下押ししかねないことになるだけに、30日に開催される金融政策決定会合での日銀の対応への期待は高まる。

・今週は下表の主要スケジュールを見ての通りに、中国、米国での重要指標の発表が相次ぐ。15日には中国の「9月の消費者物価指数」、米国の「9月の小売売上高」、18日には中国の「12年7~9月期GDP速報」が発表されることになることから、その結果によっては世界株市場が引き続き不安定な状態が続くことになりそうだ。また、10日に米S&Pがスペイン国債を「BBB+」から投資適格としては最低の「BBB‐」に2段階引き下げた。一方で8日に欧州安定メカニズム(ESM)が正式に発足した。依然として欧州債務問題は世界の金融市場にとっては不安の種であることには変わりない。18~19日にEU首脳会議が開催されるが、この度、ノーベル平和賞を受賞したEUが“世界金融”に平和をもたらすことが出来るかどうか、首脳会議の結論が大いに注目される。

(中島)

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