マーケットレポート

マーケットの視点

株式市場にプラスとなるニュースが相次ぎ、日本株に円高是正が定着する効果は大きく業績堅調組の株価見直しが続こう

・先週のニュースフローは株式市場にとっては好感すべき内容が多かった。まず、30日の日銀の金融政策決定会合では2カ月連続で追加金融緩和を決めた。資産買い入れ基金を9月に70兆円から80兆円にしたのに続き、今回、91兆円と11兆円増額した。増額の内訳は長期国債と短期国債を5兆円ずつ、ETFや社債などのリスク性資産を1兆円積み増した。更に、単に資金供給量を増やすだけではなく、「貸出支援基金」を新設。銀行等の金融機関が貸し出した資金を全額、低金利で長期間融資する制度で、現時点では金利0.1%で無制限に融資する内容だ。事前予想は10兆円の増額だったが、これを大きく上回ることはなかったものの、11兆円としたことで日銀の意欲を示した格好になったと言える。合わせて発表された「経済・物価情勢の展望」の中で、実質GDP成長率を12年度1.5%増、13年度1.6%増へと下方修正し14年度を0.6%増と厳しい見方を発表、更には14年度の消費者物価上昇率を消費税引き上げの影響を除き“+0.8%”と目標の1%達成は無理とした。日銀の予測に関して民間機関よりもまだ楽観的という声もあるが、日銀は大変厳しいとの情勢判断をしていて危機意識が強いことから、景気の下支え、中期的なデフレ脱却に対する対応への期待は大きい。

・また、米国経済指標では、30日発表のコンファレンス・ボードの「10月の消費者信頼感指数」が“72.2”と9月の改定値68.4から上昇、08年2月以来の高水準となった。1日発表の「10月のISM製造業景況感指数」は“51.7”と市場予想の51.2、9月の51.5を上回り、2カ月連続で50を超えた。とりわけ、新規受注が8月47.1→9月52.3→10月54.2と増勢傾向にあることで先行きへの期待感は高まる。そして、2日には注目の「10月の雇用統計」が発表されたが、非農業部門雇用者数が前月比17.1万人の増加と市場予想の同12.5万人増を上回り、同時に8、9月の雇用者数を合計8.4万人の上方修正を行った。失業率は7.9%と9月の7.8%からは上昇したが、これは職探しを再開した人が増加したためと説明されポジティブであり、市場予想通りの結果だ。今週6日に迫った米大統領選挙を目前に発表された雇用統計は大きな争点になったが、大統領経済諮問委員会(CEA)のクルーガー委員長は「世界大恐慌以来の景気後退から米経済が回復を続けていることの新たな証拠となる」と、ロムニー共和党候補の経済政策顧問を務めるグレン・ハバード元CEA委員長は「毎月25万~30万人の雇用増が得られて初めて勢いがある数字と言うことができ、この水準では充分ではない」と発言、選挙終盤での舌戦が激しくなっているが、今回の結果はオバマ大統領にとっては優位の内容と判断されている。

・以上の好感すべきニュースフローの中で、米日とも企業決算の結果が芳しくないものの、株式市場にはプラスに働きマーケットは堅調な推移を辿った。為替が週末に再び80円/米ドル台、2日の東京市場では高値“80.67円/米ドル”まであってグローバル関連を中心に買い安心感が高まり、先週末の2日の日経平均株価は3連騰で前日比“104.35円高”の「9051円22銭」と再び9000円台を回復した。一方、予想以上の雇用統計を好感し堅調だったNYダウは石油大手シェブロンの決算が予想以上の減益となったことでエネルギー関連株を中心に売り優勢となり、結局は前日比“139.46ドル安”の「1万3093ドル16セント」で引けた。今週の米国株市場は、厳しい企業決算が峠を越え、雇用統計を中心に経済指標が堅調な結果となっていることから、米大統領選挙で大きな波乱がない限り再び上昇トレンドを描きそうだ。日本株市場は海外株市場の堅調、円高是正の傾向を受け、決算発表が引き続き下方修正優位で進もうが、強含みの展開が続くと予想する。今週の決算発表は、5日のトヨタ自動車、6日の日産自動車が大きな焦点になるが、既に29日発表のホンダで中国、欧州不振を背景とする下方修正を確認済みであり、下方修正となっても大きな驚きはないだろう。また、今週の決算発表は社数こそ多いものの、話題性の高い企業はほぼ先週中に発表を終えており、今週は総じて決算発表での波乱はないものと予想する。今回は決算発表前から下方修正への警戒が強かったために、むしろ予想以上に堅調な決算を発表した企業の積極的な株価見直しが進んでも不思議はない。

・今回の12年7~9月期決算で下方修正の要因となったキーワードは「欧州、中国、液晶、パソコン、デジカメ」である。このキーワードが業績を圧迫しながらも比較的堅調な見通しにある企業は日本電産、コマツ、ダイキン工業、キヤノン、ニコン、カシオ計算機、JVCケンウッド、クラレ、そして国内外インフラ関連の恩恵で業績堅調なのが三菱重工業、日立、東芝、日揮、内需関連のKDDI、JR東海、JR東日本、不動産、ゼネコン大手、自動車大手とタイヤ大手3社は下方修正でも前期比の業績回復は著しく、ドン底・家電3社は今期予想を据え置き、黒字を確保するソニーはいち早く業績浮上に転じている。

(中島)

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