マーケットレポート

マーケットの視点

米独は史上最高値が間近な一方で日本株市場は上昇余地大、大日住友とソニーの株価急騰は更なる日本株上昇への前兆

・先週は引き続き日本株、欧米株市場の力強さが目立つ展開となった。日経平均株価は22日に政府・日銀がデフレ脱却と経済成長の実現に向けた共同声明を発表したことによる材料出尽くし感と、今回、日銀が発表した“無期限の金融緩和策”の内容が「14年以降に月間13兆円の金融資産を買い入れるが、保有国債の償還が進むことで資産残高は13年末101兆円から14年末111兆円と10兆円しか増えない」という実体面の失望感で円安一服となったこともあり21~23日と3日続落した。しかし、24日に前日比“133.88円高”、そして25日は為替が91円/米ドル台、122円/ユーロ同台へと再び一気に円安が進んだこともあって同“305.78円高”と急騰し「1万926円65銭」と昨年来高値を更新、前週末比でも“13.35円高”とかろうじてではあるが、71年2~4月以来42年ぶりの11週連続上昇となり、しかも前週末に続き2週連続の週末高値引けで終えた。また、売買高は大発会以来、15日連続で30億株を超え続けている。なお、18日に続いて前日比300円超の上昇幅は東日本大震災直後の11年3月16日“488.57円高”、22日“401.57円高”以来のことだが、この2回以前では09年12月3日“368.73円高”まで遡る上昇幅だ。

・一方、米国株市場では、NASDAQはアップルショックで冴えないが、NYダウは25日まで6連騰、しかも5営業日連続で昨年来高値を更新し「1万3895ドル98セント」、S&P500に至っては25日まで8連騰かつ8営業日連続で昨年来高値を更新、25日に「1502.96ポイント」と07年12月10日以来の1500ポイント突破、同年10月9日の史上最高値「1565.15ポイント」まで“62.19ポイント、4.14%”まで迫った。NYダウも同日の史上最高値「1万4164ドル53セント」まで“268.55ドル、1.93%”まで迫っており、史上最高値を更新するのは時間の問題だ。また、独DAXも25日まで3連騰、25日に前日比“109.84ポイント”の大幅上昇となり「7857.97ポイント」と17営業日ぶりに昨年来高値を更新、やはり史上最高値の07年7月16日「8105.69ポイント」まで“247.72ポイント、3.15%”までとなっている。しかし、同じ時期の日経平均株価の高値は7月9日の「1万8261円98銭」と25日株価はこれに対して依然として“59.83%”水準に留まっており、まだまだ上昇余地は大きい。

・先週の注目銘柄は大日本住友製薬とソニーだ。大日本住友製薬は24日の昼のNHKニュースで癌新薬の実用化に向けた臨床試験の申請を行うと報じられたことに反応し24日“15.7%”、25日“11.5%”の急上昇、ソニーは25日に“8.5%”の急騰で株価は「1290円」と1月9日「936円」から“37.8%上昇”となった。この2社の株価の動きは、今後の日本株市場の先行きを象徴するようなものではないかと考える。かつて、医薬品株は“夢”の代表業種で、新薬開発の成功が業績を一変させるということで、新薬関連のニュースが出るだけで突飛高したものだが、ここ10数年はそのような株価反応の仕方を見たことがなかった。今回の大日本住友製薬の株価急騰パターンは久々に“夢を買う株式市場”という本来在るべき姿を想起させるような反応だ。

・ソニーに関しては、22日にNTTドコモの春モデルの新製品発表会があったが、目玉はソニーのスマホ「XPERIA Z」とタブレット端末「XPERIA Tablet Z」だった。今回、一気に12機種の新製品を発表したが、中でもソニーの2製品を中核的な戦略商品として巻き返しを図ると宣言した。同2製品は世界最薄、背面のガラス光沢などデザインが魅力的な上に、大容量バッテリーやCPU、通信性能など機能面の充実ぶりも著しくヒット作となりそうだ。ところで、23日発表のアップルの決算発表は神話崩壊を予感させるショッキングな内容だった。24日に90年代後半から00年代初頭にかけて携帯電話市場を席巻したフィンランドのノキアが10~12月期に黒字転換を達成したものの90年以降で初の無配転落となったとのニュースが流れた。一方、25日にサムスン電子が10~12月期決算を発表、売上高、営業利益とも四半期ベースで過去最高を達成、12年通期の営業利益は約2兆4500億円、前期比86%増と、わが国製造業で過去最高だった08.3期のトヨタの2兆2703億円に迫る空前の好業績を実現している。まさに、栄枯盛衰、ノキア→アップル→サムスン電子と主役は移り変わってきた。簡単にサムスン電子の牙城が崩れることはないだろうし、ソニーの「XPERIA」が一気に世界シェアを急拡大させることはないだろうが、円安・ウォン高で風向きは変わって来ている。ソニーがテレビ事業の巻き返しにも成功し、日本企業の復活を象徴するような主役の座に復帰することを暗示しているのかもしれない。ソニーは、弊社マンスリーレポートの新年号ではいち早く2013年の期待銘柄として取り上げたが、25日にメリルリンチ日本証券がレーティングを中立から「買い」に引き上げ、目標株価を980円から「1850円」に大幅アップ、シティーグループ証券も28日発信のレポートで同じく中立から「買い」に引き上げ、目標株価を1030円から「1600円」に引き上げた。先週までは株価が上昇してもソニーに対してなお懐疑的な見方がほとんどだったが、一変しそうだ。今後は他のアナリストもレーティング、目標株価の引き上げに追随する動きとなりそうだ。この流れに、ソニー自身の実態が伴って業績回復、世界再攻勢が実現して行けば、「日本企業復活」のシンボルとなり得るだろう。

・また、24日の日本電産の決算発表は25日の日経朝刊が「一転9割減益」と伝えたように、表面上は業績急落のショッキングな数字となっている。通期の営業利益を期初見通し950億円、同中間期800億円から今回200億円、前期比73%減、当期利益を期初見通し570億円、同中間期500億円、今回45億円、同89%減へと今期2度目の下方修正を行い、年間配当金も前期90円から今期80円へと普通配当としては上場来初めて減配する。しかし、日経朝刊の記事内容は、24日の決算説明会で永守社長が説明した内容の10分の1も伝えておらず、今回の大幅下方修正の真意が全く伝えられていない。今回、営業利益800億円を200億円に600億円の下方修正を行ったが、内訳は円安要因がプラス20億円、HDD不振に伴う生産調整により稼働損100億円、構造改革費用400億円で、実態の収益悪化は120億円となっている。環境的にはタブレットの攻勢でノートパソコンが予想外に厳しく、世界シェア8割を誇ったHDD用モーターを直撃、更に、日本電産コパルのデジカメ関連も急落している。しかも、タイ洪水の後に新型マシンを導入したばかりで収益面への影響度が大きくなりそうなことから、今回、抜本的な生産体制を見直し、在庫評価損、新型マシンを含めた機械装置等の減損処理などをやり過ぎなくらいまで行うとしている。

・実態は、欧米流の“転ばぬ先の杖”的な用意周到かつ大胆なリストラ策なのである。400億円の損失計上と言っても実際のキャッシュアウトは40億円で360億円は評価減・減損などの会計処理上の損失であり。実質的な営業利益は3Q115億円、4Q165億円としている。今回の構造改革が落ち着けば14.3期の第2Q以降にも四半期・営業利益200億円は実現可能としている。また、HDDに関しては14.3期下期以降に高付加価値新製品にことごとく切り替わり、収益性が大幅向上するとの見解を示した。その一方で、車載用モーターの受注獲得が予想以上となっているなど15.3期以降は産業用モーターの収益が本格拡大期を迎えるという。すなわち、14.3期の営業利益は最低700億円、下期次第では900億円、15.3期には念願の1000億円突破は確実で、過去最高の11.3期905億円を更新することになりそうだ。今回、改めて自社株買い300億円を設定し株価を支えるが、永守社長は「株価が大幅に売られるようなら個人資産ででも買いに行く」と強気であり、大幅回復への自信を顕わにしている。今回の構造改革の“真意”は遅くても14.3期第1Q決算となるが、今後、株価ポジションによっては絶妙の仕込み場になりそうだ。

(中島)

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