マーケットレポート

マーケットの視点

黒田新総裁の初会合後の記者会見、今週末の「米国雇用統計」、来週以降の米国企業の決算発表と注目材料が続く

・新年度入りの日経平均株価は先週末比“262.89円安”の「1万2135円02銭」と、3月7日「1万1968円08銭」以来の水準でスタートすることとなった。値下がり銘柄数1630(値上がり63、横ばい17)は東日本大震災直後の1637以来の多さで、ほぼ全面安。3月21日に「1万2635円69銭」と昨年来高値を更新したところまでは、今年の東京の桜開花宣言が過去最速タイ記録だったように猛スピードで駆け上がって来たが、その後、一気に花冷えとなり冬模様のような天候となったのに似ている。しかし、そのお蔭で寒々としながらも、桜を楽しめる時間がゆっくりとなったように、マーケットも今回の下げで改めて銘柄物色の楽しみが広がったものと捉えることが出来よう。

・キプロス問題に加えてイタリアの連立政権成立が難航し、欧州不安が再燃したことをきっかけに、対ユーロが119円台まで、対米ドルが93円台まで円高が進んだことが日本株市場の売りを誘っている。先週発表された3月第3週(18~22日)の投資部門別売買動向で海外投資家が19週ぶりに918億円の売り越しとなったことも、“一旦売り”を促す要因となっているようだ。しかし、今週3~4日に黒田総裁新体制での日銀金融政策決定会合が開催され、“次元の違う金融緩和策”の内容が明らかになる。この4月以降、電力料金の値上げや円安を背景とする食品関係の値上げが目立っており、その対応を急がなければ、改善し始めた国内景気トレンドを腰折れさせかねないことは承知のことで、かつてマリオ・ドラギ氏が11年11月にECBの第3代総裁に就任した時に、いきなり利下げを連発、その後も“ドラギマジック”と称された大胆な手法でユーロ危機を救ったように、日銀新体制も“公約”に近い『デフレ脱却』に向けて大胆でスピード感のある施策の展開が期待されよう。過去14年間に亘ってほぼ一貫して下落トレンドを続けた物価を2%上昇させることは容易ではないが不可能ではない。

・焦点は、如何にして凍りついた金融資産を溶かすことが出来るかどうかに係わる。3月25日に日銀が発表した「資金循環統計」によると、12年12月末の家計(個人)の金融資産は1547兆円で内訳は現金・預金854兆円、保険・年金準備金429兆円と83%を占める一方、投資信託61兆円、株式・出資金106兆円の比率は11%に過ぎない。また、民間非金融法人に関しては借入335兆円に対して現金・預金209兆円と短期資金バランスとしては借入超過ではあるが、209兆円の現金・預金が滞留しているとも見て取れる。すなわち、個人も企業のこれまでは長期デフレに身構えていたことで資金を固定して動かさなかったが、“インフレ期待”が醸成され、強まれば個人からの株式市場等への資金移動が活発化する。企業も先行きの事業見通しが楽観的になれば設備投資、雇用拡大などに踏み切る。事業拡大を前提に土地手当てやオフィスペースの確保に動けば地価上昇が実現する可能性も高まる。幸いにも、円安効果、内需拡大を背景に企業収益が好転することで、大企業の賃金上昇に弾みが増すことが期待されている。問題は、1日に発表された「3月の日銀短観」で指摘されるように中小企業の回復が遅れ気味になることだが、まずは政府の中小企業対策が支え、好況が長引いて中小企業の浮揚感が高まることで解消されることになろう。

・NYダウは先週の27日に8営業日ぶりに史上最高値更新、28日も更新、S&P500も28日終値が「1569.19ポイント」と07年10月9日「1565.15ポイント」以来の史上最高値を更新した、NASDAQも28日に昨年来高値を10営業日ぶりに更新している。欧州株市場は欧州不安の再燃で一旦、足踏みしているが、米国株市場の勢いは衰えていない。今週末には、このところ好結果がマーケットの押し上げ要因となっている「米国雇用統計」への期待が高まる。また、4月8日のアルコアを皮切りに12日JPMチェース、ウェルズ・ファーゴ、15日シティグループ、16日IBM、インテル、ゴールドマン・サックスなど米国企業の決算発表が始まる。トムソン・ロイター調べによるとS&P500採用企業の13年度純利益は1~3月期1.5%増だが4~6月期6%増、7~9月期10%増、10~12月期13%増と下期は二桁増益の予想であり、下期以降の強気な見通しが注目されることになりそうだ。なお、ゴールドマン・サックスが日本株市場の予測を1月24日のTOPIX3、6、12カ月後を「870、1000、1100(日経平均株価なら13000円)に対して、3月19日に13年度の経常増益率を29.6%増から40.5%増に上方修正したこと等を理由に「1100、1175、1250(同13000、14000、15000)」に引き上げた。また、SMBC日興が4月1日に発表した13年度末のTOPIX予想は1400ポイントと更に高い。今後、安倍政権の下でいくつものハードルを超えて行くことにより、株価上昇トレンドに弾みが増す可能性が一段と高まりそうだ。

(中島)

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