マーケットレポート

マーケットの視点

歴史的な急落となったが、日米とも経済・企業収益などファンダメンタル面は良好、調整局面は買いのチャンス

・先週の世界株市場はそれまでの好調な上昇トレンドから急変、特に23日の日本株市場は記録的な1日となった。23日の日経平均株価の下げ幅「1143.28円」は歴代11位、下落率「7.32%」は歴代10位の記録、東証一部の売買高76億5514万株、売買代金5兆8376億円はともに過去最高となった。日経平均株価の下げ幅、下落率の歴代1位は、ともに87年10月20日のブラックマンデーの時で「3836.48円、14.90%」であり、その日の大暴落も突然やって来たのだが、売りが殺到し主要銘柄の株価を表示する株価ボードの全てに値が付かないまま前場が終わり、全員が呆然と立ち尽くしていたのを思い出す。もっとも、その翌日に「2037.32円、9.30%」と当時歴代1、2位の上昇を記録して大幅に値を戻し、その2年後の89年12月29日「3万8915円87銭」の史上最高値まで突き進んで行った。直近の下落幅、率の上位記録は東日本大震災の11年3月15日「1015円34銭…18位、10.55%…3位」であり、下落幅上位20位の中にはバブル崩壊後の本格的な下落が続いた1990年が10日分(上位10以内に6日分)、下落率上位20位内にはリーマン・ショック後の世界不況感が強まった2008年が8日分(上位10位内に4日分)、ランキングされている。

・23日の一日を改めて振り返ると、円安進展となったこともあり、22日の“246.24円高”の4連騰の流れを引き継いで10時には一時「1万5942円60銭」と前日比“315.34円高”と1万6000円台を窺うほどマーケットの強さを見せていたが、後場に入って一転、下落に転じ、時間が進むにつれ下げ足を早め大幅下落となった。翌24日は売買開始早々に前日比“523.52円高”の「1万5007円50銭」と1万5000円台を回復し、前場通じては前日比500円高前後の上昇を維持していたが、再び後場に入って急落し、1時45分には前日比“502.46円安”の「1万3981円52銭」と1万4000円割れとなった後に急速に値を戻し、結局は前日比“128.47円高”の「1万4612円45銭」で週末を終えた。高値安値の日中値幅は23日“1458.62円”、24日“1025円98銭”と2日連続して1000円を超えたが、連日の記録は90年9月28日~10月2日の3日連続以来の22年8カ月ぶりという乱高下の2日間となった。

・海外株市場も大荒れの展開となった。22日のNYダウは同日に行われたバーナンキFRB議長の議会証言に翻弄された。当初は緩和継続と発言したことを好感し前日比“154.82ドル高”と急騰したが、その後、質問に答えて「今後数回の会合で資産購入のペースを減速させることは可能」と発言、更にはその日に発表された4月30~5月1日のFOMC議事録の中で緩和策の縮小開始を巡る意見の相違が続いており、大半のメンバーが今後の経済指標に応じて買い入れ規模を増額・減額どちらの方向にも調整できるようにしておくことが重要と認識していることが明らかになった。マーケットでは“金融緩和策縮小”が強く意識されることとなり、一転して下落に転じて最終的には前日比“80.41ドル安”となった。また、欧州株市場でも22日まで12日連騰かつ12日連続で史上最高値更新と活況に沸いていた独DAX、20日に07年10月20日の史上最高値を5年7カ月ぶりに更新した後に22日まで4日連騰・3日連続更新となっていた英FTSE100も、23、24日と急落して1週間を終えた。

・23日の日本株市場急落の背景としては、米FRBの今後の金融緩和策縮小に対する意識が根底にあり、直接のトリガーとなったのは10時40分過ぎに発表された中国の「5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)」が前月比0.8ポイント低下の「49.6」と7カ月ぶりに50を下回ったことだ。更に、ヘッジファンドを中心にコンピュータによる自動売買が中国のPMI低下に強く反応したことで値動きが増幅されたとの指摘もある。しかし、最大の理由は“短期間での急激な上昇”ではないだろうか。日経平均株価は1万円台を回復した後も休みなく上昇を続け、GW明け後の5月7日には08年6月以来の1万4000円台を回復、その後に上昇ピッチを更に切り上げてわずか6日後の15日に07年12月以来の1万5000円台を一気に回復、この間、17日までの2週間で「1444.08円、10.5%」もの急上昇を記録していた。一旦売りたいと思っても売れない上昇トレンドがほぼ6カ月も続いていたことから、今回のようなきかっけを待っていたというのが最大の理由のような気がする。23日に急落した後に個々の株価を改めて眺めて見ても悲観的な株価になっているとは思えない。

・マーケット環境を考えると、日米景況感は、むしろ今後一段と好転する方向性が明らかであり、欧州は現在がドン底である。為替相場は多少の紆余曲折があるとしても、円安の方向性は変わらないだろう。また、わが国の企業収益は13年度に増益幅が大きく拡大するが、為替想定などの観点からこの先に会社計画が増額修正され増益幅が更に拡大することは必至と言える。6月に政府の成長戦略『骨太方針』が発表され、7月の参院選での自公勝利の可能性が高まっており、TPP参加による日本経済への好影響が今後は明らかになって行こう。日銀が目標とするデフレ脱却が目論見通りに実現するかどうかに関しては、その成り行きを見極める必要があるが、1%程度まで低下したわが国の潜在成長率が再び2%程度へと上昇する可能性は高い。現時点における大きな懸念材料は中国の動向だが、既にわが国企業は中国内の人件費高騰や日本排斥運動を背景に“チャイナリスク”を意識して動いており、一方で、自動車などの世界需要に関して米国が再び牽引役になりつつある。中国経済が更に大きな変調を来すことになったとしても、一時期のように大きなダメージを被るとは考え難い。従って、今回の株価調整局面は、むしろ上昇ピッチが速過ぎて買いそびれた銘柄群の購入を改めて考え直す好機になるものと捉えたい。まだまだ、上昇トレンドの途上にいることは間違いないと考える。

(中島)

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