マーケットレポート

マーケットの視点

「5月の米雇用統計」は無難な結果に終わり、今週は“乱気流”状態を脱して再び円安・株高トレンドに復帰すると予想

・先週も世界株市場は不安定な状態が続いた。日経平均株価は週間単位で“525.67円、837.91円、897.01円”と3週連続で大幅下落、合計“2260.59円安、14.9%下落”、先週末の株価は「1万2877円53銭」と4月5日「1万2833円64銭」以来の1万2000円台に逆戻りし、終値ベースの直近高値である5月22日「1万5627円26銭」からは“2749.73円安、17.6%下落”となった。NYダウも6月5日に「1万4960ドル59セント」と5月6日以来の1万5000ドル割れを記録、欧州株市場、そして7日まで7日続落した上海総合指数などアジア株市場もほぼ軒並み大幅な下落となった。為替市場も大混乱、週初めの100円/米ドル台から95円/米ドル台まで乱高下を繰り返しながら一気に円高が進み、7日のNY市場では米国の「5月の雇用統計」発表直後に94円/米ドル台を付けたが、その後は97円/米ドルに戻すなど株式市場、為替市場とも“乱気流”状態が続いた。

・しかし、この乱気流も先週でほぼ収まり、今週以降は再び株価上昇、円安転換のトレンドに回帰するのではないだろうかと予想する。今回、株価が急落し不安定状態に突入した背景は、22日のバーナンキ発言を発端とする“米国の金融緩和縮小”観測の台頭である。米国の金融緩和縮小は、本来であれば「米国景気回復歩調が強まる→金融緩和策の役割が後退→緩和縮小」と認識されるところが、一足飛びに「緩和縮小→リスクマネー後退→金融市場からの引き上げ」へと連想が働いた結果である。しかし、足下の米国経済指標の結果を評価すれば、米国経済は順調な回復トレンドを辿っていることは明らかであり、その一方でフルスロットルの緩和策を継続することはいずれバブル発生という弊害をもたらすことは歴史が証明していることである。従って、事前に金融緩和縮小を検討し始めることは当然のことと考えるべきだ。そして、せっかくの景気回復を腰折れさせるような政策転換は最悪の結果を招きかねないことは重々承知の上であろうゆえに、政策転換によっても巡航速度の景気拡大が続く展開になると考える方が妥当と思う。

・現実に、乱気流の中でその結果に世界の注目が集まった米国の「5月の雇用統計」は、失業率が4月の7.5%に対して7.6%と悪化、非農業部門雇用者数は市場予想の17万人増を上回って17.5万人増となった。何とも絶妙な“グレーゾーン”な結果である。失業率の悪化は労働参加率の上昇、すなわち職探しをする意欲が高まった結果として好感される一方、非農業部門雇用者数は4月の14.9万人増から急増したとは言え、本格回復の水準である20万人増を引き続き下回っている。すなわち、“ほど良い”結果だった訳で、「緩和策縮小があるにしても直ぐにはない」という判断に結び付いたようであり、為替は一旦、ドルが94円/米ドル台に急落した後、97円/米ドル台に戻し、7日のNYダウは前日比“207.50ドル高”、欧州株市場でも独DAXが3日ぶりに上昇し同“155.87ポイント高”と久々に大幅な上昇となって先週末を終えている。

・今週の日本株市場は大幅上昇でスタートし、比較的堅調な1週間になると予想する。先週の7日にGPIF(年金積立管理運用独立行政法人、運用資金約112兆円)が各々の運用資産の比率を国内債券67→60%、外国債券8→11%、国内株式11→12%、外国株式9→12%に変更すると発表した。これによって、株式買い入れの増加、あるいは株価急上昇した際の日本株売却が抑制されると同時に、海外ウエイトの増大は円売り→円安に結び付く。同様な変更が国内の機関投資家全般に波及すれば、日本株市場を支える大きな流れになるものとして期待されよう。また、日経平均株価が5月22日から先週末までに17.6%下落したことで、この間に日経225ベースの予想PERは17.31倍→14.24倍と急低下、配当利回りは1.35%→1.66%へと急上昇し、東証1部の騰落レシオ(25日ベース)は117.94%→76.91%と売られ過ぎゾーンに近付いている。個別の株価を見ても、急速な下げによって、特に自動車主要銘柄を中心とするグローバル関連銘柄の株価急落が目立ったことから、買い直しには手頃な株価水準にまで戻ったという印象が強い。また、23日に1%にまで急上昇したわが国の長期金利(10年物国債利回り)も再び落ち着きを取り戻しており、為替も円安トレンドに復帰する可能性は高い。まずは11日の金融政策決定会合後の黒田総裁の記者会見に注目だ。

(中島)

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