マーケットレポート

マーケットの視点

再び円高反転、精彩欠く決算発表で日本株市場は大崩れとなったが、慌て売りは禁物でむしろ買いそびれを拾い直したい

・7月になって順調に戻り歩調を辿り1万5000円台の回復も視野に入っていた日経平均株価は終盤、一気に大崩れとなった。先週末は6週間ぶりの下落、前週末比“459.93円安”の「1万4129円98銭」で引け、先週末に米国株市場が乱高下しながらもNYダウ、S&P500、NASDAQともかろうじて上昇して終わったにも拘わらず、週明けの日本株市場のスタートは下げ止まらず、日経平均株価は前引け現在300円超の下落となり1万3800円台、終値で7月1日「1万3852円50銭」以来の1万4000円割れとなり、7月に入っての上昇をチャラにしてしまった。終盤に大幅下落となった理由は二つ、為替が再び97円/米ドル台の円高気味に向いてしまったことと、決算発表での“キヤノンショック”だ。今回の決算発表では前年同期比円安を背景に企業業績の大幅回復を期待しているが、23日発表の日本電産こそは予想以上の復活ぶりとなり株価も大幅上昇となったものの、24日発表のキヤノン(12月決算、第2Q発表)が大幅下方修正を行い、25日発表の信越化学、日産自動車とも堅調ではあったものの精彩を欠く内容だったことから、今後の決算発表に対して警戒心が強まっている。

・まず、キヤノンの決算に関しては、13.12期業績を前回予想に対して売上高3兆9800億円、前期比14.4%増→今回3兆8500億円、同10.6%増に、営業利益4500億円、同39.0%増→今回3800億円、同17.3%増と、年間の為替前提を対ユーロ、対米ドルとも1円程度の円安に変更しながら、売上高で1300億円、営業利益700億円の下方修正となった。期初公表予想が売上高3810億円、営業利益4100億円だったので、為替前提が期初の85円/米ドル、115円/ユーロに対して今回95.46円/米ドル、125.42円/ユーロと大幅な円安に変更した上で、営業利益は期初公表を下回る下方修正となっただけに期待外れの不安が高まった。キヤノンの下方修正の理由は明確だ。世界的なコンパクト・デジカメの不振、欧州市場でのプリンター・複写機の低迷、半導体製造向けステッパーの低調である。今回の決算発表は総じて業績好転が期待されているが、マイナス要素としては『パソコン不況→HDD、半導体などが低調、デジカメ不況→カメラメーカー、関連部品が低調、中国・欧州市場の低迷』の3点である。キヤノンは全くこの3点が今回業績の足を引っ張っており、他社で3要素が揃うのは少ないと考える。キヤノンは今期決算で第1四半期に上方修正し、今回は大幅下方修正するというドタバタを行った。実は前期決算でも第1四半期に上方修正し第2四半期以降に下方修正しており、2年続けて繰り返している。キヤノンはカメラ、プリンター、複写機ともトップシェアを有しており、業界動向に関してはどこよりも多くの情報量を得ているはすである。正直言って、その割には先行きの認識が甘いのではと疑わざるを得ない。予想数字を変えようとしない企業は困るが、キヤノンのようにドタバタするのも考えものである。

・また、シリコンウエハの世界トップの信越化学は“半導体低調”が、中国展開で本邦トップの実績を誇る日産自動車は日本車不買運動による“中国低調”が仇となっている(中国販売は13年1~3月の実績が4~6月期決算に反映される)ことと、九州工場での生産混乱があったためだ。それでも両社とも14.3期見通しは予定通りとして、信越化学は通期の営業利益を今回改めて1700億円、前期比8.3%増と公表、日産自動車は同6100億円、39.0%増と据え置いた。信越化学の第1四半期の営業利益はシリコンウエハが低調な中でも、進捗率は中間期に対して51.7%、通期に対して26.8%と、先行き増額修正への期待は高い。

・決算発表は始まったばかりであり、“キヤノンショック”を全てに当てはめるのは早急である。指摘した3つのマイナス要素には注意する必要があるが、全体としてわが国の13年度、14年度業績が順調に上昇トレンドを辿ることには変わりない。改めて、業績好転を評価することになろう。また、為替に関して、米国情勢に振られる格好で100円/米ドルを挟んで円高、円安を行き来する展開が続いているが、米国は確実に量的緩和策の縮小に向かっている反面、日本は2年間の異次元緩和策を維持する方向に変わりはない。すなわち、一時的な“ブレ”はあったとしても、趨勢的なドル高・円安は続くと考える。従って、7月終盤のような大崩れ局面であっても、慌て売りは禁物で、むしろ改めて買いそびれた銘柄の購入を検討するチャンスとしたい。

(中島)

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