マーケットレポート

マーケットの視点

FOMCの意外な決断に対するブラード総裁発言でマーケットは波乱含みだが、円安がグローバル関連にはフォローの風

・先週18日の米FOMC後のバーナンキFRB議長の発言に世界のマーケットはどよめいた。事前予想では、月間850億ドルの資産買い入れという『QE3』(量的金融緩和策)の縮小に踏み切ることは確実であり焦点は買い入れ額の縮小規模に絞られていたが、あにはからんや、バーナンキ議長は緩和策の現状継続を発表した。その理由として、「私は、政府が資金を確保して公共サービスを提供し、債務を返済できるように、議会と政権が協力することが特に重要だと考える。期限が迫る財政協議を巡る不透明感がある」と指摘し、「政府機関の閉鎖、あるいは債務上限の引き上げができないという事態になれば金融市場や経済に非常に深刻な結果をもたらし得る」と発言した。失業率の低下など経済の明るい兆しが見えてはいるものの、現在の増税や連邦歳出削減は今後の雇用回復のブレーキになりかねないことは事実。予算関連法案の設立期限は10月末であり、これが通らなければ連邦政府機関の多くが閉鎖されることになる。更に、米国議会が10月中旬の期限までに債務上限引き上げで合意に至らなければ政府のキャッシュは枯渇し、国債のデフォルトに直面する危険性はあり得なくはない。

・今回の米FOMCの決定は、充分な流動性供給が継続するという点では世界株市場にとっては一安心、大きなプラス材料である。一方で、バーナンキ議長の発言直後に米国債券市場が敏感に反応し、3%台に接近していた米長期金利は低下、緩和策縮小を見越して「円売り・ドル買い」に向かっていた投機資金の急速な巻き戻しもあり、為替相場は一旦、97円/米ドル台まで円高に傾いたが、『QE3』縮小の方向性に変わりないことから短時間のうちに99円/米ドル台の米FOMC前の水準まで戻している。更に、20日にセントルイス地区連銀のブラード総裁がブルームバーグテレビのインタビューで、経済指標で一段と強い景気動向が示された場合には10月のFOMCで量的緩和の縮小に踏み切ることもあり得るとの見方を示し、カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁は市場でFRBによる緩和縮小着手が市場で確実視されていたにも拘わらず見送ったことでFRBに対する信頼感がリスクに晒されていると語っている。従って、バーナンキ発言によっては年明け以降に先送りされる可能性も指摘されていた緩和策縮小議論に再びスイッチが入ると同時に、“ドル高・円安”に流れが戻りそうだ。更に、このところ、欧州経済の底打ちを示す経済指標が相次いでいることに加えて、22日開票のドイツ連邦議会選挙でメルケル首相率いる与党「キリスト教民主・社会同盟」が得票率41.5%と大勝を収め、連立政権の組み直しが必要になりそうなものの、メルケル首相の三選が確実視され、結果的にはユーロ圏の安定を支えることになると予想されることから、“ユーロ高・円安”が進展する可能性が高い。

・先週の世界株市場はリスクオンの展開、日経平均株価は20日のザラ場高値「1万4816円65銭」と1万5000円台に迫り、NYダウ、S&P500、独DAXは史上最高値を更新、NASDAQ総合指数も年初来高値を更新した。今週の米国株市場は一層、経済指標に神経質な展開になりそうだが、発表スケジュールは別表の通りで目立った指標の発表がないことから、米株市場は膠着展開になると予想する。欧州株市場は目先の注目材料であったドイツ連邦議会選挙が与党大勝で終わったことで安心感はあるものの、連立政権後の在り方に不透明感が残るため、やはり膠着展開になりそうだ。但し、23日に発表された9月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が、新規受注の好調を背景に中国「51.2」(←8月50.1)と3月以来6カ月ぶり、ユーロ圏も「52.1」(←8月51.5)と11年6月以来2年3カ月ぶりの高水準に達したことは好材料。その一方で、米国が「52.8」(←8月53.1)と前月比低下していることがマーケットに影響を与えることもあり、今週の世界株市場は方向感に乏しい展開になりそうだ。

・今週の日本株市場は、円安に対してどの程度の反応となるかどうかが焦点となりそうだ。先週は、世界株高にも拘わらず、円高気味だったことでグローバル関連の株価が冴えないことがマーケット全体を押さえていただけに、今週は自動車、電機を中心にグローバル関連の株価上昇に弾みが付けば、改めて日経平均株価は5月22日以来の1万5000円突破へのチャレンジもあり得よう。ただ、東京五輪の開催決定後に建設・不動産関連が異常とも言える株価上昇となっており、シンボル的な大成建設が急騰、大幅下落するなど、同関連銘柄群が波乱要因となりそうで、海外要因と合わせて要注意。4~9月期決算発表を睨んでグローバル関連の出遅れ株を狙って行くことが有効と考える。

(中島)

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