マーケットレポート

マーケットの視点

円安進まず日本株市場は精彩欠く展開、主要企業で明暗分ける決算発表が目立つが悲観的ではなく株価下押しは狙い目

・先週の世界株市場は世界同時株高の様相を呈したが、残念ながら日本株市場は熱気の外に置かれたままとなった。米NYダウは29日、米S&P500は28、29日、独DAXは29、31日と史上最高値を更新、米NASDAQは29日、仏CAC40は31日、韓国総合は30日に年初来高値を更新、印SENSEXは29日に年初来を更新した後に30日に10年11月5日の史上最高値を一気に更新し1日まで3日連続で更新し続けた。また、英FTSE100も30日に「6777.70ポイント」と5月22日の史上最高値「6840.27ポイント」まであと“62.57ポイント”まで迫った。一方、日経平均株価は、先々週の円高進行が止まって再び円安気味に傾いたことで週明けの28日こそ前日比“307.85円高”と急速に値を戻したが、29日以降は海外株市場の好調な波に乗り切れず、週間ベースでは月曜日の貯金で前週末比“113.38円高”となったものの精彩を欠く展開となった。

・海外株市場好調の背景は、米国の量的金融緩和策の縮小が14年3月以降までは実施されないことがマーケットコンセンサスになりつつあることで、“過剰流動性相場”が継続するとの安心感が広がっているためだ。そのことを強く確認するように、29~30日の米FOMC後の声明で月額850億ドルの資産買入れ規模を維持することを決定したことが伝えられた。同時に、6~9月と金利上昇が続いたこと、10月以降に一時的な米国政府機関が閉鎖されたことの影響もあって、米国景気見通しに対する楽観的な見方がやや後退しており、短期金利先物市場では米FRBが15年4月に利上げに踏み切る確率を51%と織り込んでおり、当面は金融緩和的状態が継続する方向性が再び定着しつつある。更に、31日に発表されたユーロ圏の10月のEU基準消費者物価指数(CPI)が前年同月比0.7%増と9月の同1.1%増、市場予想の同1.1%増を大幅に下回り10年2月以来の1%割れの低水準な伸びとなった。コアCPI(エネルギー、食品、アルコール類、タバコを除くベース)も9月の同1.4%増に対して10月が同1.1%増となり、足下でユーロ高が進行していたことの弊害を考慮することもあって、ECB(欧州中央銀行)が利下げに踏み切るのではとの観測が台頭している。まずは今週7日のECB理事会の内容が注目される。

・一方、日本株は為替も対米ドルで98円/米ドル台がせいぜい、対ユーロもユーロ高歩調から利下げ観測の台頭でユーロ安に振れ、再び円高気味に転じたことが株価上昇に歯止めをかけた。また、決算発表が本格化し、富士重工業、マツダのように予想以上に好調な結果が多い反面、28日発表のコマツ、31日発表のソニー、1日発表の日産自動車が大幅下方修正を行なったことが失望を呼んでいる。コマツは期初公表に対して売上高1900億円、営業利益950億円もの下方修正となり14.3期の営業利益は3050億円、前期比44%増の大幅増益から2100億円、同1%減と一転して減益見通しとなった。14.3期営業利益をソニーは期初公表2300億円、同横ばいから1700億円、同26%減に600億円の下方修正、日産自動車が6100億円、同39%増(会計方針変更後)を4900億円、同12%増(同)と1200億円もの下方修正を行なった。

・コマツは中国売上高が想定以上に回復しているがインドネシアを中心に鉱山機械が急速に冷え込んでいるためで、ソニーはパソコン、デジカメ、ビデオカメラ、新興国市場のテレビの不振が大打撃。日産自動車は中期計画「NISSAN 88」での世界シェア8%獲得に向け世界各地で大増産を同時に進めているが、固定費負担増が収益を圧迫している上に生産体制に大混乱を生じ供給が追い付かず販売計画未達となっている。コマツは日立建機が14.3期営業利益830億円、同61%増と大幅増益の予想を据え置いたこと、ソニーはパナソニックが売上高を2000億円増額し7.4兆円、前期比1%増と減収計画から増収に、営業利益も200億円増額し2700億円、同68%増と大幅回復が更に強まる見通しとなったこと、日産自動車は他の自動車メーカーは全て据え置きか上方修正でまさに“一人負け”状態、など対照的に厳しい。

・しかし、小売、建設、メガバンクなどの内需関連は業績好調で、グローバル関連も総合商社、海運などは業績回復が鮮明になってきており、自動車業界も日産自動車以外は今週発表のトヨタを含めて予想以上に業績好調だ。今週の決算発表でほぼ14.3期の方向性が明らかになるが、当初考えていたように総じて上方修正が優位であり、全体としては上方修正になるものと予想する。また、不振組も好調組に対して相対的な収益足踏みが目立つというだけで、例えばコマツの経常利益は増益見通しであり、日産自動車は営業二桁増益、ソニーはスマホ「XPERIA Z1」は国内外で好評、北米で11月15日、欧州で29日、日本で14年2月22日に発売予定のゲーム機「PS4」の手応えは充分、新型デジカメ「α7、α7R」は画期的で新製品の注目度は高い。決して悲観するような状況ではなく、株価の大幅な下押しは一つのチャンスと考える。

(中島)

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