マーケットレポート

マーケットの視点

欧米波乱因、アジア株市場の一休み、期待外れな決算発表で日本株市場の下押し強まったが、株価下落は行き過ぎと考える

・先週は海外の波乱要因が相次いだ。まず、7日にECB(欧州中央銀行)が予想外の利下げを発表した。10月31日に発表されたユーロ圏の消費者物価指数を受けて12月のECB理事会で利下げを決定するのではと見られていたが、一歩先んじて利下げを決めた。ECBの主要な政策金利であるリファイナンス金利を0.25%引き下げて過去最低である0.25%に、上限金利の限界貸出金利を0.25%下げて0.75%とし、銀行への流動性供給措置を15年半ばまで継続すること発表した。ドラギ総裁は「インフレ率(EU基準で0.7%、コアCPIで1.1%)がECBの目標である2.0%を大きく下回っていることに対する措置で、ユーロ圏の経済回復の失速を阻止するためにはもう一段の引き下げもあり得る」とした。デフレに対する警戒心は相当に強く、一方で今夏以降にようやく欧州経済に回復の兆しが出てきた火を消さないように必死だ。またまた“ドラギマジック”が繰り出された格好だが、反面、それだけ危機感が強いことの裏返しでもある。ECBの予想外の利下げを受けて一斉にユーロ安が進み、先々週に135円/ユーロ台を付けていたが、利下げ発表後は一気に130円/ユーロ台まで円高・ユーロ安が進んだ。

・そして、7日には米国の「13年7~9月期GDP」が発表されたが、実質ベースで前期比年率「2.8%増」と市場予想の1.9%増前後を大幅に上回った。民間住宅投資が同14.6%増と牽引、企業の在庫投資や政府支出、輸出の伸張も支えた。GDPの7割を構成する個人消費は同1.5%増と堅調なものの、4~6月期1.8%増からはスローダウンしている。悲観的な見方が多かったことに対してはサプライズではあるが、7~9月期はすでに終わったことで、6月以降の金利上昇や政府機関の一部閉鎖の影響はその後のことであり、年末商戦など個人消費が足踏みする懸念もある。

・8日に「10月の雇用時計」が発表されたが、失業率は7.3%と9月7.2%から上昇したものの、非農業部門雇用者数は前月比20.4万人増と市場予想の12.5万人増を大きく上回った。予想では政府機関の一部閉鎖の影響を見込んでいたが、現実の影響は大きくなかったことが分かった。合わせて8、9月分を合計6万人上方修正したことによって、過去1年間の月間平均増加人数が19万人を超えたことになり、労働市場は力強い動きをし続けていることが示された。それまでは米国景気回復の足踏みを懸念し『QE3』縮小は14年3月以降というのがコンセンサスになりつつあったが、これらの結果を受けて、もっと早まるという見方に再び一気に傾いた。ECBの利下げ、FRBの量的金融緩和策縮小の早期化観測が強まるという対照的な結果となったことでドル高が進行している。対米ドルは、先々週に97円/米ドル台まで円高気味に振れたものが一気に99円/米ドル台まで円安に戻っている。

・先週の日経平均株価は7日に“108.87円安”、8日“141.64円安”と続落し週末株価は「1万4086円80銭」とかろうじて1万4000円台を保って終わった。8日の大幅な下げは7日のNYダウが6日に史上最高値を更新した反動と8日に発表する「10月の雇用統計」への警戒から“152.90ドル安”となったことや、国内決算発表の“期待外れ”のためだ。決算発表は、4~9月期実績は予想通りに好調で一部に通期見通しを増額修正する企業もあるが、どちらかと言えば相変わらず慎重姿勢が多く、トヨタの決算のように「期待値に届かない」決算が多いことと、コマツ、ソニー、日産自動車のように主力企業の予想以上の下方修正が買い意欲を減退させている。トヨタは、14.3期の営業利益を前回予想の1兆9400億円、前期比47%増から2兆2000億円、同67%増と過去最高の08.3期2兆2704億円にほぼ近い予想へと増額修正してきたが、コンセンサス予想は2兆4000億円台と過去最高更新の水準で、これを下回ったことが失望感に繋がり日本株市場をドンヨリさせる結果となっている。

・しかし、コンセンサス予想と会社公表は前提が違うことを明確に認識すべきだ。トヨタは下期の為替を95円/米ドルとしているが、1円/米ドルで営業利益は年間400億円変動するので、仮に98~99円/米ドル程度で推移すればユーロ等も含めて更に1000億円程度の円安効果が上乗せされる。また、国内販売は足下が好調で消費税率引き上げの仮需が発生するにも拘わらず通期の国内販売台数は今回1万台しか上方修正していない。加えて、原価改善効果は上期に1400億円を実現したが、下期は上期比100億円の改善しか織り込んでいないが、年間2000~3000億円はコンスタントに可能だと言う。従って、今回の公表2兆2000億円は実質的には発表前のコンセンサスとほぼ同等な内容であり、なんら悲観する必要はない。結果は半年後だが、現状の収益環境が続けば過去最高を大幅に更新することになる可能性は高い。果たして、今回の失望と言うのは正しい反応なのか疑問である。

(中島)

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