マーケットレポート

マーケットの視点

今週の日本株市場も不安定な動きが続きそうだが、確実に割安感は強まっている

◆先週末の日本株市場は3連休を控え、海外投資家の大幅な売り越し、“イエレン・ショック”で再び急落

・日本株市場を“イエレン・ショック”が強襲した。19日にイエレン新FRB議長として初の米FOMC開催後の記者会見で、量的緩和策が終了した後での利上げ開始時期に関する質問に対して「6カ月程度」と具体的な期間を示したことで、米国の利上げを発端とする本格的な投資マネーのリスク・オフが俄かに強く意識された。20日の日本株市場は幾つもの不安材料が重なってしまった。具体的には、①米オバマ大統領の強硬な牽制にも拘わらずロシアのクリミヤ編入が着々と進展し、ロシア対西側諸国との緊迫感が高まっていること、②寄り付き前に財務省が発表した9~15日の対内株式投資で海外投資家が2週間ぶりに売り越し、しかも売越額は1兆924億円と現在の集計方法となった05年1月以来、最大の売越額となったこと、③3連休前であること、などに“イエレン・ショック”がダメ押しした。前日の米シカゴ市場の日経平均先物6カ月物の清算値が、大証の日中取引の清算値「1万4420円」、19日の日経平均株価の終値「1万4462円52銭」を上回る「1万4500円」で終え、しかも為替が102円/米ドル台への円安に振れたに拘わらず、20日の日経平均株価は朝方こそ高く始まったがすぐに崩れ始め、アジア株市場が軟調に推移したこともあり、後場はほぼ一貫して前日比200円を上回る下落幅で推移し前日比“238.29円安”、1週間を通じては週半ばに回復しかけたが結局は2週連続下落で前週末比“103.43円安”の「1万4224円23銭」と、ザラ場安値で1万4000円割れを記録した2月5日の終値「1万4180円38銭」以来の安値水準にまで押し戻された。

◆米国の利上げは“異常から正常への脱却”の過程であり、最終的にはマーケットが理解する着地となろう

・米国の利上げに関しては、イエレン議長の記者会見前に発表された声明の中では、ゼロ金利政策の解除時期を“相当の期間”と曖昧にしていたことに対して、「6カ月程度」、すなわち当初は15年末くらいでの利上げを想定していたのが、15年春にも米国が利上げに踏み切るとの観測に変わった。これに対して、イエレン議長は金融緩和支持のハト派と見られていたのが実はタカ派なのではという見方と、今回の発言は勇み足という見方に分かれている。ただ、火のない所に煙は立たずで、イエレン議長が米国の景気見通しを前提に利上げの時期を意識し始めていることは事実である。米FRBの本来の使命は「物価の安定と雇用の最大化」である。現状の欧米経済が、リーマン・ショック、南欧諸国の債務問題などを背景にデフレリスクに陥っていたために、非伝統的な金融緩和策を継続してきた。逆に出口戦略への危機感が強く意識されるが、“ゼロ金利”という異常事態から脱却することが、本来的な金融政策の在り方でもある。もちろん、どの時点で利上げに踏み切るかは、非常に難しい舵取りを要求され、早過ぎれば景気の腰折れを招き、遅過ぎればバブルを発生させかねない。現在の米国景気は、失業率が従来のようには改善していないこと、足下の経済指標が年末年初の大寒波の影響で判定が難しい状況にあること、更には新興国経済が自国通貨安の影響もあり停滞色が鮮明になっていることなど、米国の利上げが世界経済にとって大きなマイナス材料として反応し易い状況にある。しかし、その状況は重々承知のはずであり、イエレン議長が、米FRBが、米国が、世界経済を大きく後退させるような行動に出ることは考え難い。マーケットは、米国の利上げが米国経済の順調なトレンドを背景としていることを映していると好意的に解釈するまでにはまだ時間がかかりそうだが、間違いなくそのような状態に近付いて行くことになろう。

◆今週は米国株市場の動向、緊急G7の内容に注意する必要があるが、日本株市場の割安感は一層強まっている

・今週の日本株市場も不安定な状態が続きそうだ。NYダウは、19日にイエレン議長の発言を受けて一旦は前日比“209.90ドル安”まで売られたが、終値では同“114.02ドル安”まで値を戻し、翌20日は同“108.88ドル高”へと持ち直している。米国の利上げに対する米国株市場の認識は先週時点では“中立要因”と受け止められた模様だが、改めて今週の米国株市場の反応ぶりを見守りたい。今週の最大の焦点は、蘭ハーグに注目が集まることだ。24~25日に蘭ハーグで開催される核安全保障サミットに合わせて、オバマ大統領の提案で24日にロシアを除いた緊急G7サミットを開催し、G8の枠組みに関する議論とウクライナ支援策を検討する予定となっている。最終的には、欧州主要国とロシアとの利害関係の点を考えると過激な結論が出ることはあり得ないと予想するが、その成り行きが注目される。また、24日にはオバマ大統領と習近平国家主席との米中首脳会議、25日は安倍首相、朴大統領、オバマ大統領との日米韓首脳会議、そして、ケリー米国務長官とアブロフ露外相との米ロ外相会議も予定されており、目が離せない緊迫感のある状況が続くことになりそうだ。日経平均株価は、19日時点での日経225ベースの13年度予想PERが“13.94倍”で、同ベースの予想EPSは「1020円」と1000円台が定着しつつある。来期予想で10%増益とすると、「1120円程度」で来期予想ベースのPERは19日株価で“12.70倍”と一層、割安感が強い。もちろん、為替情勢、消費増税の影響などを背景に来期10%増益に対する信憑性がないために、現在の株価低迷が続いている訳だが、国際情勢が落ち着き、米国景気回復の方向性が改めて確認されるようになれば、来期10%増益への信憑性が高まり、株価見直しの動きが相当に強まることになろう。(中島)


今週の主要スケジュール

週間スケジュール
クリックして拡大


国内株取引のリスク
株価の変動、および為替の変動等(外国株式の場合)により損失が生じるおそれがあります。
国内株取引の手数料について
国内株の手数料は多岐に渡っているため、このスペースに表示するのが難しいため、詳細は国内株の「手数料とリスクについて」でご確認ください。
株式は、クーリング・オフの対象にはなりません
詳しくは手数料とリスクについてをご覧ください。


国内株取引のリスク
株価の変動、および為替の変動等(外国株式の場合)により損失が生じるおそれがあります。
国内株取引の手数料について
国内株の手数料は多岐に渡っているため、このスペースに表示するのが難しいため、詳細は国内株の「手数料とリスクについて」でご確認ください。
株式は、クーリング・オフの対象にはなりません
詳しくは手数料とリスクについてをご覧ください。