マーケットレポート

マーケットの視点

頼りない日本株市場も「決算発表、消費増税直後」を通過すれば見直し機運も

◆日本株は気迷い気分強く一進一退が続く中、NYダウは4カ月振りに史上最高値を更新

・決算発表シーズンに入った21日の週の日経平均株価は一進一退の動きが続き、週間では前週末比“87.01円安”と3月後半以来の荒れ相場からは落ち着いた展開となった。週明けの28日は先週末に欧米株市場が大幅安となり為替が再び101円/米ドル台に進んだことを受けて急落して始まったが、日米の重要イベントを直前に控えていることもあってズルズルと下げることはなく前日比“141.03円安”で踏み止まり、逆に、休み明けの30日は週初めの欧米株市場が大きく持ち直していることを受けて朝方こそ同“132.99円高”と高く始まったが、重要イベントや決算発表への警戒心から売り買い交錯、結局、終値は同“15.88円高”と値を消した。30日は値上がり銘柄753、値下がり銘柄919、変わらず136と拮抗し、東証1部の売買代金は1兆9094億円と活況の目安とされる2兆円を12営業日連続で下回った。現在の日本株市場に対する“気迷い気分”を象徴している。その一方で、欧米株市場は週明けに3連騰となり、30日のNYダウは「1万6580ドル84セント」とついに昨年12月31日の史上最高値「1万6576ドル66セント」を更新、S&P500も「1883.95ポイント」と本年4月2日の史上最高値「1890.90ポイント」に再び詰め寄り、欧州株市場も独DAX、英ETSE100は史上最高値圏まで上昇している。昨年末高値に対して9割を下回る水準に止まる日経平均株価の頼りなさが鮮明になっている。

◆日米の重要イベントは無事通過したが、日銀の真意はなかなかマーケットには伝わらないまま

・日米の重要イベントである日銀の金融政策決定会合と「展望レポート」発表、米国のFOMCは無難に通過した。日銀の展望レポートでは、新たに16年度見通しを発表したが、実質GDP成長率は16年度「1.3%増」と14年度「1.1%増」、15年度「1.5%増」に続き日本の潜在成長率0.5~1.0%を上回る堅実な成長が続くとし、消費増税の影響を除く消費者物価上昇率は14年度「1.3%上昇」、15年度「1.9%上昇」から16年度「2.1%上昇」へと確実にデフレ脱却が進み、目標の物価上昇率2%を達成する見解を明らかにした。これに対して民間機関では物価上昇2%達成を予測しているところはほとんどない。ESPフォーキャスト(民間42人・機関の平均)では14年度「0.97%上昇」、15年度「1.03%上昇」となっている。このギャップに対して、日銀の強気姿勢は“インフレ期待”を高めることでマインドを上向きにさせる効果を狙っていることと、黒田日銀総裁の「見通しが下振れれば躊躇なく調整する」との発言にあるように、極端な言い方をすればどんな手段を使ってでも是が非でも達成させるという意識でもある。すなわち、現時点での民間機関の予測には“追加緩和”や新・成長戦略の効果などは織り込んでいない。そのような対策が出なければ達成は難しいかもしれないが、黒田日銀と安倍政権の『デフレ脱却』への本気度からすれば、“なにがなんでも実現させる”という方向へ突き進むことは間違いないのだろう。しかし、現時点では、マーケットからの信頼が得られていないからこそ、企業収益の好調などが鮮明でも依然として欧米株市場に対して出遅れたままの推移が続いている。

・29~30日の米FOMCでは、量的金融緩和策に関して5月からの資産購入額を更に100億ドル減額して550億ドルとすることを決定した。一方で、企業投資の足踏みや住宅投資の回復テンポが鈍いことを強調し、足下のインフレ率が1%程度と長期目標の2%を大きく下回っていることに対して「注意深く進展を見守る」とし、早期の利上げ、出口戦略への懸念を払拭する配慮を示したことで安心感が広がり、30日のNYダウが4カ月振りに史上最高値を更新することに繋がった。残るは2日に発表される「4月の雇用統計」だが、非農業部門従事者数の市場予想は“22万人”であり、19~23万人の範囲であれば問題なしと受け止められそうだ。

◆決算発表は順調で14年度の増益も見え、消費増税の影響も想定内の模様で先行き評価へ

・14.3期決算発表は順調である。30日までは全体の約2割の社数が発表済みで、日経調べによると発表済みベースでの経常増益率は約50%、未発表を含めては32%増益になるとしており、ほぼ予想通りの好決算だ。8日…東芝、トヨタ自動車、9日…新日鉄住金、三菱重工業、12日…日立製作所、日産自動車、14日…ソニーなど、主力企業の発表は来週以降に本格化することから12日の週以降にならないと最終的に詳細な数字がまとまらないが、観測記事などを参考にすると、概ね好調な結果となりそうだ。発表済みの決算に関しては、15.3期見通しに関してコンセンサス予想を下回り失望をかう企業が毎度の通りに多いが、減益見通しを発表する企業はほとんどない。現時点で大幅減益予想を発表して目立ったのは、開園30周年記念イベントの反動で入場者数の大幅減を見込むオリエンタルランドくらいであり、主力企業で最も失望感が強かったのは25日発表のホンダで、営業利益のコンセンサス事前予想が14.3期7,984億円、前期比47%増、15.3期8,992億円、同13%増に対して発表は14.3期7,503億円、同38%増、15.3期7,600億円、同1%増だった。14.3期は480億円、15.3期は1,400億円の未達となった。14.3期はリコール対策として緊急に品質関連費用を300億円積み増した結果であり、15.3期に関しては為替の影響額が670億円のマイナスで、このうちブラジルや東南アジアなど新興国に対する円高の影響を420億円としており、この部分はかなり保守的にみているなど相当に慎重な見通しと考えられる。実際に、株価はさすがに28日こそ前週末比155円安となったもの、その後は戻り歩調となっている。いずれにしても、15.3期の予想集計に関しては増益見通しとなる公算が大きそうであり、この点はひとまず安心と言えそうだ。

・決算発説明会の時に各社からは消費増税の影響に関するコメントが多いが、ほとんどのコメントは「予想していたほどには厳しくない。早期の回復が見込まれる」とのことだ。従って、消費増税による反動減による落ち込みは懸念していたほどには大きくはなく、低迷も長引かずに回復に転じることになりそうだ。そのような足下の状況はニュースでも伝えられているが、実際の経済指標や業界統計数字で明らかになってくれば、安心感が高まることになろう。4月までの日本株市場の低迷は、米国の大寒波の影響、ウクライナ情勢の緊迫化などの海外要因に加えて、国内の消費増税の影響が深く長くなることへの不安、14年度の企業収益見通しに対する減益懸念などが重石になっていたことによるが、今後はこのような不安が払拭されてくることになろう。(中島)


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