マーケットレポート

マーケットの視点

原油安/ギリシャ・ショックで一気に調整入りしたが、むしろ積極的な押し目買いのチャンスに

◆原油安ショックとギリシャ不安再燃で世界株市場は一気に調整強め、欧州株の急落が目立つ

・世界株市場は、原油安ショックとギリシャ不安再燃が重なり、一気に調整色を強めた。原油価格の下落が止まらない。NYマーカンタイル市場のWTI先物価格(1月限)は、11日に60ドル/バレル割れまで下落していたが、12日終値は前日比2.14ドル安の「57.81ドル/バレル」と09年5月15日56.34ドル/バレル以来、5年7カ月ぶりの安値水準まで下落した。世界経済減速の中、北米シェール・オイル増産、OPEC生産維持を背景とする供給過剰懸念から7月以降の半年間、一貫して下落トレンドを続け、なおかつ月を追う毎に下落幅が拡大した。12月12日にIEA(国際エネルギー機関)が15年の石油需要見通しを前年比91万バレル減の9335万バレル/日と発表したことで一層、急落の足を速めた。

・また、ギリシャは、15年3月までの任期となるバブリアス大統領の後任を選出する選挙を同年2月に実施する予定だったが、ギリシャ政府が政治不安を払拭する狙いで前倒しして12月17日に行うと9日に発表した。しかし、これが逆効果で、大統領選出が紛糾し政治不安が高まるのではと懸念され、ギリシャ国債が急落、ギリシャ株式市場のアテネ総合指数が9日に10%以上下落、10日までの2日間で17%もの下落となり、これを受け順調に戻り歩調を続けていた欧州株市場は一気に急落した。英FTSE100、仏CAC40とも5日続落し週間下落率は6.56%、7.03%に達し、5日に「1万87.12ポイント」と1万ポイント台を回復し史上最高値を更新した独DAXも12日終値「9594.73ポイント」まで押し戻された。

◆日経平均株価も7年5カ月ぶりの1万8000円越えとなった後、一気に調整局面に入る

・日経平均株価は、8日にザラ場高値で「1万8030円83銭」と07年7月24日以来の1万8000円台乗せを実現したが、9日は1万8000円を突破した達成感、欧米株の反落、為替が120円/米ドル割れへと円高に進み円安一服、などで8営業日ぶりの下落に転じた。10日は前日の欧米株市場の急落(NYダウも前日比222.91ドル安まで下げ終値は同51.28ドル安で終えた)、一段の円高歩調が当面の利益確定売りを増やしたことでジリジリと下げ続け、前日比504.56円安までのザラ場安値まで急落。最後は同400.26円安まで戻して引けた。11日も欧米株続落を受けて朝方は同368.95円安まで急落したが、その後は大きく戻して後場は膠着展開となり、同155.18円安で引けた。9~11日で“678.24円、3.78%”の下落となったが、11日の欧米株が上昇に転じたことから週末の12日は同114.18円高と4日ぶりに反転した。

・しかし、11日に落ち着きかけていた欧米株市場は、週末の12日にNYダウが前日比315.51円安の安値引けで「1万7280ドル83セント」と1万8000ドルから遠ざかり、英ETSEが同161.07ポイント安、独DAXが267.80ポイント安、仏CAC40が116.93ポイント安と、再び軒並み急落して1週間を終えている。下げ止まらない原油価格、ギリシャ問題、中国経済への懸念など、週明けに不安を引き摺るような展開となっており、リスク回避の点から「円安・株高」の流れが一旦は足踏みしそうだ。

◆OPECの強硬な生産維持などを背景に原油価格の低迷が長引きそうで、その影響が懸念される

・原油価格の低迷は長引きそうだ。大幅下落が続いたことで北米シェール・オイルは減産傾向に向かっているものの、OPECがサウジアラビアを中心に強硬に生産維持していることから、需給改善には時間がかかりそうだ。現時点では、WTI先物価格で15年に50ドル/バレル割れまで下落し、その後は回復に転じてもシェール・オイルの採算ラインである65ドル/バレル前後までの上昇がせいぜいとの見方が台頭している。既に、シェール開発計画を見直して投資縮小を発表するところも出ており、シェール革命で期待されているプラント工事や建設資材などの需要増加に与える影響も懸念される。

・また、サウジとほぼ並ぶ世界最大級の原油生産国であるロシアは、ウクライナ問題による経済制裁や原油代金収入の大幅減少、更には通貨ルーブル急落の影響もあって経済への影響は深刻だ。中南米やOPEC諸国の中でも経済基盤の弱い国は財政問題へと発展しかねない。欧米の石油開発大手の収益悪化が明らかとなり、資源関連株が急落していることも株式市場に影を落としている。原油価格が70ドル/バレルあたりまでの下落過程では、資源国・新興国の厳しさの反面、先進国では原油安メリットが強調されることで欧米株・日本株市場の好調を支えていた。しかし、65ドル/バレルを下回ってからは先進国へのマイナス影響も無視できなくなり、世界株市場が全般的に急速な調整局面に転じた格好となっている。

◆自公圧勝で上昇一服、今週の焦点は米FOMCの結果であり、主力株の押し目買いを

・第47回衆議院選挙は自公圧勝で終わった。自公優位で3分の2を獲得し自民党単独で300議席を超えるのではとの観測もあったが予想通りに自公大勝の結果で、他合計149に対し自民党291(改選前293)・公明党35(同31)と自公326で、定数475の3分の2である317を充分に上回った。これで、何事もなければ今後4年間は安定政権が続き安倍政権が戦後最長となる可能性もあり得ることとなった。安全保障問題、TPP交渉、原発再稼働、財政再建、デフレ脱却と17年の消費増税、新成長戦略の完遂など、これから難問解決に立ち向かことになり手放しでは喜べないだろう。腰を据えて納得の行く議論の末に難問を突破し、『日本再興』の実現に向けて進んで欲しいところだ。

・今週最大の焦点は、16、17日に開催される米FOMCである。前回は予想に反しゼロ金利策を「相当期間維持する」という文言が維持されたが、今度は削除されるかどうかが焦点だ。もしも削除されれば、米国の利上げ時期、出口戦略の本格始動が強く意識される。そうなれば、ドル高・円安が後押しされる反面、株式市場からの資金引き上げ傾向も強まることになり、日本株市場としては見通しが難しいところだ。15日朝に日銀短観(12月調査)が発表された。ほぼ横ばいとする事前予想が多かったが、結果は大企業で製造業が9月13→12月12、非製造業が13→16と製造業はほぼ予想通り、非製造業は上向きに転じているが、先行きは製造業11、非製造業15と若干の悪化を想定しており慎重姿勢のままだ。

・週明けの日経平均株価は、先週末に欧米株市場が急落したことや、衆議院選挙の結果が自公圧勝で終わり材料出尽くしとなったこともあって前日比272円安となった。米FOMCの結果を見るまでは欧米株市場とも様子見展開が続きそうだ。決算発表が終了、衆議院選挙も無事通過し、米国の年末商戦も順調な模様だ。原油価格の動向、為替の推移は気懸りではあるが、米FOMCで予想外のことが起きない限りは、年内の残りは膠着したマーケット展開となる可能性が高いと予想する。一時は一気に1万8000円越えまで急進したことで買いそびれたと感じた銘柄も多くあると考える。先週からの調整局面は、新年相場に向けて買い場が与えられたと認識し、8日までの7連騰の過程で急騰した銘柄を中心に押し目買いを入れるスタンスで臨みたい。

(中島)

今週の主要スケジュール

週間スケジュール
クリックして拡大


国内株取引のリスク
株価の変動、および為替の変動等(外国株式の場合)により損失が生じるおそれがあります。
国内株取引の手数料について
国内株の手数料は多岐に渡っているため、このスペースに表示するのが難しいため、詳細は国内株の「手数料とリスクについて」でご確認ください。
株式は、クーリング・オフの対象にはなりません
詳しくは手数料とリスクについてをご覧ください。