マーケットレポート

マーケットの視点

「4~6月期決算」は予想以上に好調で先行き増額修正期待高まり、強気スタンスで

◆17日発表の「4~6月期GDP速報」は警戒が必要、波乱展開となればぜひ買い姿勢で

・7月相場は、ギリシャ問題、上海総合指数の急落、米国企業決算という海外要因に大きく揺さぶられて乱高下を繰り返す展開となった。しかし、終わって見れば月間では“349.51円、1.73%”の上昇と、15年に入って月間で6度目の上昇を記録した。急落場面でも1万9000円台を維持し、かつ昨年来高値に迫るなど、底堅く上値追い意欲の強さを改めて確認する1カ月となった。

・依然として海外投資家がマーケットを大きく左右する構造に変わりはないが、下押しする局面で日銀のETF買いやGPIF、3共済、ゆうちょ銀行・簡保など“公的マネー”の買いに加え、一貫して上昇が続いた過程で買いそびれた地銀が日経平均株価2万円を下回る水準でETFを買い入れて支えることで、下値不安が払拭されている。更に、NTT、JR各社など往年の銘柄群の株価復活で投資余力を取り戻している個人投資家や、NISA導入に後押しされて新たな株式ブームに乗ろうとする新規の個人投資家が増えつつあることも追い風となっている。また、6月30日に東証に上場申請した「日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険」の上場が8月中に承認される見通しで、今後、秋以降にかつてのNTT上場(87年2月9日)のようなフィーバーが巻き起こることで、日本人の株離れを解消させる流れになる可能性もある。

・8月は、夏枯れ相場の中で波乱展開になることが多い。7日発表の米国の「8月の雇用統計」、そして17日に発表される「15年4~6月期GDP<第1次速報>」が焦点となりそうだ。米国に関しては、既に30日に「15年4~6月期GDP<速報>」を発表、1~3月期を前回の前期比年率0.2%減から同0.6%増に上方修正した上で、同2.3%増と順調な回復が示された。警戒されている米利上げに対する議論は既に相当進み、9~12月の実施をマーケットは充分に織り込みつつある。一方、わが国の4~6月期・実質GDP成長率に関しては、マイナス成長も予想されている。輸出、生産の一時的な停滞で日本経済が足踏み気味であることは織り込みつつあるとは言え、現実にマイナス成長という結果が出てくれば、その時の状況によってはショック安となる可能性はあり得る。しかし、一時的なことであり、マクロ面では7~9月期、10~12月期と回復傾向を強めるとみられ、企業業績に関しては先行き増額修正、そして16年度の業績続伸も予想されることから、基本的には強気スタンス、下押したら買い向かいたいところだ。

◆15年4~6月期決算は予想以上に好調な内容が目立ち、先行きの増額修正は必至の情勢

・31日に466社が決算発表し主力企業中心に最大の山を越えた15年4~6月期決算は、これまでのところ予想通りに順調な内容が続いている。前年同期が消費増税の影響や天候不順が重なって厳しかったことに対する反動で“大幅増益”の数字がほとんどである。しかし、単なる反動増だけではなく、4~6月期の純利益としては過去最高という企業が多いことも目立つ。メリルリンチ日本証券が31日のレポートで、30日までに発表された4~6月期決算の集計結果をまとめている。12~3月決算のTOPIX採用企業の金融を除く478社を集計した結果、前年同期比で「営業18%、経常27%、当期41%」増益で、売上高経常利益率は前年同期6.3%から今4~6月期7.3%へと向上している。正確なところは分からないが、市場コンセンサス予想に対して半分強が上回る好調な結果となったようだが、例年通りにほぼ全てが通期予想を据え置いている。同レポートによると、同じベースの集計対象921社の15年度・経常増益率はクイックコンセンサス予想の前期比16.4%増に対して会社公表計画は同10.4%増と慎重な数字にとどまったままだ。従って、11月下旬から始まる7~9月期決算発表以降に多くの会社が通期計画を増額修正することになろう。

・15年度は中国を中心に新興国・資源国の低調、欧州の低迷が足を引っ張っているが、16年度以降はこれらが好転し、自動車や鉄鋼など国内の販売・生産が回復に転じ、日本経済の成長率が高まることを背景に、16年度の業績続伸が見えてくることになり、一層のマーケット押し上げ要因として期待されよう。

◆個別の注目は「不振企業の好転、意外に好調、内需関連が好調」、一段と評価される展開へ

・今回の4~6月期決算のポイントは次の3点。①回復が遅れていた企業が勢いを取り戻している、②環境悪化を予想していたが意外に好調だった、③インバウンド効果が予想以上に大きいなど内需関連の業績好調ぶりが際立っている。①の代表例は、ソニー、日産自動車、ホンダなど。ソニーはスマホ事業が赤字と弱いが、他はCMOCセンサーなどが好調で、純利益はオリンパス株の売却益もあったが4~6月期としては過去最高になった。構造改革の効果が更に利益を押し上げると期待される。また、ある精密・電子部品会社の決算説明会での同社社長の環境説明で、世界的に土砂降り状態にあるデジカメに関して、ミラーレスとコンパクトはソニーの独り勝ちで、デジカメ全体も底が見えて来たと表現していた。「PS4」の販売台数は増額修正、4KTV「BRAVIA」も強さを発揮しており、“SONY”ブランド・商品力の復活も本物だ。日産自動車、ホンダとも市場予想を大きく上回る結果となっており、日産自動車の4~6月期純利益は過去最高となった。2社とも他と比べて好調市場の北米が収益の足を引っ張っていたのが大きく好転したためだ。とりわけ、ホンダの株価は出遅れ感が強かっただけに今後の追い上げが期待される。

・②に関しては、まずは電子部品。中国のスマホ不振などを理由に業績が足踏みし、TDK、村田製作所など主力電子部品メーカーの株価調整が目立つが、決算発表の内容はむしろ絶好調。電子部品全般に車載関連の好調が収益を大きく押し上げている。村田製作所の4~6月期純利益は前年同期比73%増と急伸し過去最高、TDKはHDD用磁気ヘッドの不振を悪材料に大幅に株価下落しているが、HDD用磁気ヘッド関連の営業利益は半減しているが、セラミックコンデンサや高周波部品、フィルムバッテリーなどの好調がカバーして余りあるほどで、全体の営業利益は同89%増とほぼ倍増。電子部品各社とも足下の受注は衰えておらず、先行きは業績増額修正の可能性が高い。また、新日鉄住金は、国内の自動車生産の低調、アジア市場の鉄鋼市況の大崩れ、原油市況急落によるシームレスパイプの後退などを背景とする業績不安を理由に、株価は精彩を欠いている。しかし、大幅減産しながらも4~6月期の収益は高水準であり、7~9月期以降の持ち直しに自信を深めている。従って、この先、再び同社の株価が急落するような場面があれば拾って行きたい。資源価格安、欧州停滞という収益環境が厳しい中で海運株も低調なままだが、日本郵船と商船三井でクッキリと明暗が分かれている。商船三井はなかなか低迷を脱し切れないが、日本郵船はむしろ余裕を感じる。厳しい収益環境の中での日本郵船の業績堅調ぶりは明らかに評価不足だ。

・③に関しては、銀座三越店の大幅増収が続く三越伊勢丹の4~6月期の営業利益が前年同期比83%増益で過去最高となり、海外市場開拓の効果も大きい花王、味の素、キッコーマンも大幅増益かつ過去最高を記録している。また、旅客輸送拡大の恩恵を受けてJR東日本、ANAHDも予想以上の業績好調となっている。内需関連は、原油・LNG価格安による燃料コスト低減を受けて4~6月期が大幅増益となっている。更に、メガバンク3社、証券各社も業績好調。他には、前四半期に対する増収増益が続く日本電産は計画を上回る業績拡大となっているが、永守社長が今回は見通しを据え置いて先行き大幅に増額修正する考えであり、株価1万円台が定着すれば再び株式分割を行う意向を示した。総合商社の中では、中国不安で株価低調な伊藤忠商事が好調な決算で、三井物産のみならず三菱商事をも追い抜く勢いだ。

・総じて、日本企業の“稼ぐ力”が大きく向上していることが注目される。更に、15年が『コーポレート・ガバナンス』元年と称される通り、各社ともガバナンス強化の姿勢を強め、株主還元を手厚くすることが期待される。今後、一段と日本株への評価が高まることになろう。

(中島)

今週の主要スケジュール

週間スケジュール
クリックして拡大


国内株取引のリスク
株価の変動、および為替の変動等(外国株式の場合)により損失が生じるおそれがあります。
国内株取引の手数料について
国内株の手数料は多岐に渡っているため、このスペースに表示するのが難しいため、詳細は国内株の「手数料とリスクについて」でご確認ください。
株式は、クーリング・オフの対象にはなりません
詳しくは手数料とリスクについてをご覧ください。