日本株マンスリーレポート

マーケット羅針盤

マーケット羅針盤 内藤証券投資情報室

09年1~3月期GDP成長率の発表後の注目点は

2009年5月26日 投資情報室

最悪の1~3月期GDPだが、目線を企業収益とも合わせて4~6月期の結果発表に向けたい

記録的落ち込みとなったGDP成長率

 20日に発表された09年1~3月期・実質GDP成長率は、「前期比4.0%減、年率15.2%減」と記録的な落ち込みぶりとなった。記録を並べると以下の通りで、いずれも“戦後初めて、あるいは1955年に同統計を開始して以降初めて”という大袈裟な記録だが、①4四半期連続マイナス、②2四半期連続2桁マイナス、③08年10~12月期14.4%減(今回下方修正)、09年1~3月期15.2%減と第1次石油危機時の74年1~3月期13.1%減を2四半期連続で更新する落ち込みだ。

とりわけ、年率ベースで輸出26.0%減、設備投資10.4%減の要因が大きいが、住宅投資5.4%減、個人消費1.1%減と内外需ともほぼ全ての要因が重石となって日本経済を深い底に沈めた格好となっている。

冷静に受け止めるマーケット

  但し、事前の市場予測が「前期比4.3%減、年率16.1%減」と“ほぼ予想通りの酷い結果”であり、1~3月期はもはや過去の数字でもあり、既に国内の生産統計や中国の幾つかの指標など国内外の経済指標には最悪期を脱出したことを示すシグナルが出現していることもあり、マーケットは冷静な受け止め方をしている。

20日の日経平均株価は発表直後に“82.43円高”とその日の高値を記録、方向感がないままながらも終日高く推移、終値も“54.35円高”と終わった。21日も、20日のNYダウが2日連続安、円高進展となった中では“80.49円安”と穏便な動きに終始したと言える。

08年9月15日のリーマン・ショック以来、08年10月からの半年間は「世界大恐慌」に怯える厳寒の中で、まさに世界中の個人消費需要が瞬間冷凍され、その結果、わが国の自動車、エレクトロニクス、機械などグローバル業種を中心に、ほぼ全ての企業活動が一気に苦境に追い込まれた、などの事実は既に周知のことであり、マーケットは織り込み済みだ。

わが国経済は低成長ながらも、欧米の住宅バブル、新興国の高成長を背景に07年秋まで戦後最長の景気拡大を続けただけに、その反動も大きく今回の記録的なマイナス成長となった。このことは、例えばトヨタ自動車の業績に象徴されているとも言えよう。同社は名実ともに世界No1の自動車メーカーに躍進、営業利益は07年度に2兆2704億円という空前の記録を達成したのも束の間、なんと08年度は4610億円という創業来の大赤字に転落、09年度も8500億円の営業赤字を公表した。まさに、この落差である。

5四半期ぶりのプラス転換へ

  繰り返しになるが、今回の記録的なマイナス成長は過去の数字である。当然のことながら、焦点は“次”、すなわち09年4~6月期以降がどうなるかに移っている。今回の発表直前のESPフォーキャストという日本経済を予測する37名のエコノミストの平均値は「前期比1.14%増」と5四半期ぶりにプラスに転じる見通しになっている。

4月時点の予測では「同1.48%減」だったので、明るいムードに転じていることは確かだ。今回の09年1~3月期の発表を受けて各エコノミストは予測を修正するだろうが、4~6月期が5四半期ぶりのプラスに転じることはまず間違いないだろう。在庫調整の進捗を受けて国内の生産ペースが3月までの異常な状態から正常な状態に戻っていることに加え、中国、アジア向けを中心に輸出が大底を脱したものと判断される。

また、小手先の政策とは言いながらも定額給付金の効果や高速道路料金値下げによるGWの大渋滞、あるいは4月まで4カ月連続での上昇となった「景気ウォッチャー調査(街角景気)」の結果、などが示すように凍り付いていた国内個人消費もある程度は溶け始めていること、などが寄与しよう。

09年4~6月期の結果は夏、8月の半ばには発表されるが、少なくても『5四半期ぶりのプラス転換』はマーケットに好感されることは間違いないだろう。場合によっては、『上振れのサプライズ』もあり得る可能性は充分にある。その理由は、今回の決算説明会において企業サイドから「4、5月の生産が予想外に戻っている」という声を多く聞くためだ。

勿論、決して世界需要が急回復に転じている訳ではなく、1~3月の生産調整が特別に強烈過ぎたことの反動で4、5月の稼働率が予想外に上昇しているという。7~9月期の業績は、欧米の年末商戦を睨んだ動きになるので現時点ではまったく予断を許さない状況にあるが、少なくとも4~5月の為替も想定レート(90円/米ドル、115~120円/欧州ユーロ)に対して円安気味に推移しており、7月後半以降に発表される09年度・第1四半期決算と合わせ8月半ばに発表される09年4~6月期・実質GDPの結果も明るいムードを期待することが出来るのではないだろうか。

大幅上昇への期待も

  もっとも、大方のエコノミストは4~6月期の結果は一旦、プラスに転じるものの、欧米景気の本格回復は2010年に入らないと実現しないことを前提に日本経済は09年後半に息切れするとの見方が多い。この点は、衆議院選挙に絡んでの麻生自民党に“途切れぬ景気対策”を続けてもらいたいことと、オバマ大統領を中心とする米国政府及び米FRB、欧州各国の経済・金融政策対応に期待するしかない。

現時点での株式市場における認識は、09年後半に対する不透明感を理由に、企業収益、実質GDPとも4~6月期に対してフラットな判定をしている状態にあるように見える。しかし、今後のマーケット・トレンド次第ではあるが、現実にプラスの結果が出ることを想定すれば、ましてやプラス・サプライズの結果が出るならば、いつものように8月は夏休みで枯れ相場にあるだけに大幅上昇へと反応することは充分に期待出来よう。

注目するセクター

  特に、今回の決算発表で、素材業種の中には4~6月期見通しのコメントで、高値在庫の原材料を使用する一方で、低水準な稼働率を前提に赤字継続を想定している企業も多い。09年度を通じては、特に需要の点で不透明要素が強いだけに第1四半期決算発表時点で上方修正することはほとんどないとは思うが、赤字想定が黒字になることは大きなハプニングになるだろう。

株価低迷が続く繊維・化学セクターの企業が注目出来そうだ。また、今回、全ての自動車メーカーは09年度業績の中に環境関連をベースとする減税措置や給付金による買い替え促進による「スクラップ・インセンティブ特需」をまったく織り込んでいない。また、足下の4、5月において、液晶材料や半導体材料の需要が予想外に回復に転じているとの声も聞かれる。

製品需要の低迷と大幅な価格下落に打ち拉がれた電機大手は前下期以降から今期にかけて相当な勢いでリストラ、構造改善策を推進しているが、コスト低減を強烈に進めている中での製品需要の回復効果は極めて大きいだろう。多くのエコノミストが憂えているように、世界経済の大きな流れは09年通じて厳しく2010年への期待が大きいのかも知れないが、過去、いつもそうであったように何がきっかけで、振り返ると既に上昇に転じていたことになるかは分からないケースが多い。

まして、株式市場は常にマクロ・トレンドを先取りしながら進むことを忘れてはならないだろう。その点でも、今回は8月半ばに向けての6、7月の銘柄選択が短期的な妙味がありそうな気がしてならない。

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