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コロナ早期収束のメリットを享受する中国

  1. コロナ禍の短期収束で、中国経済は20年もプラス成長確保へ
  2. “本当のV字回復”が見込める中国と今後の注目ポイント
  3. 懸念材料は米中対立、それでも止まらぬ中国のイノベーション

新型コロナで世界経済はマイナス成長、中国はプラスを維持

 20年の世界経済はマイナス4.9%成長の見通し(国際通貨基金(IMF)の世界経済見通し(WEO)2020年4月~6月改訂版)。先進7カ国(G7)の成長率は、5.8~12.8%のマイナス。BRICS(新興5カ国)では、中国だけがプラス成長を維持する見込み。

 もっとも、新型コロナの収束時期は不透明であり、IMFが出した数字は、参考程度にとどめるべきだろう。だが、IMFの見通しは、中国のように強権的な封鎖措置などで、短期間でコロナ禍を抜け出すことが、経済にとって有益であることを示している

20年4月のIMF経済見通し


出所:国際通貨基金(IMF)「World Economic Outlook April2020」(6月改訂版) よりデータ取得、内藤証券作成

本当のV字回復が見込めるのは中国

 中国は19~21年の年平均成長率が、プラス4.5%と見込まれる。21年の実質GDPは、19年に比べ9.3%増の見通し。一方で日本の年平均成長率はマイナス1.8%、米国はマイナス1.9%と予想される。こうした国々を尻目に、中国は真のV字回復を果たす見込みで、疲弊した世界経済の牽引役となることが期待される。

19~20年の経済成長と実績GDPの推移


出所:国際通貨基金(IMF)「World Economic Outlook April2020」(6月改訂版) よりデータ取得、内藤証券作成

今後の注目ポイント

中国のリモートビジネスに注目

 今後注目したいのは、オンライン教育、オンライン診療、それにテレワーク体制だ。こうした“リモートビジネス”は、さらなる拡大が予想される。

中国のリモートビジネスに注目

中国で期待される「ニューインフラ投資」

 中国はコロナ禍から一早く抜け出す見通しだが、経済は大きなダメージを受けた。中国政府は景気刺激策として、5G(第五世代移動通信)やデータ通信インフラ、超高圧(UHV)送電などをニューインフラ(新基建)として位置づけ、積極的な投資を進めようとしている。

中国で期待される「ニューインフラ投資」

データセンターに注目

 ニューインフラ建設のなかでも、注目されるのがデータセンターだ。IoTや工業インターネットの普及とともに需要が拡大する見込み。中央政府の方針を受け、地方政府や企業が動き出した。

データセンターに注目

中国証券市場の対外開放が進む

 コロナ禍から一早く抜け出す中国本土のA株市場が注目されている。先ごろ中国政府は、証券市場のさらなる対外開放を発表した。

中国証券市場の対外開放が進む

大統領選挙を控え、米中関係悪化が懸念材料に

 コロナ禍では中国が一早く抜け出し、米国は事態が長期化。こうしたなか20年11月の米国大統領選挙を前に、トランプ大統領は中国に対する強硬姿勢を示している。対中制裁関税の検討に言及したほか、通信機器大手のファーウェイ(華為技術)に対する制裁強化に動いた。こうした米中関係の悪化が、コロナ禍から抜け出そうとしている中国経済や中国株の重荷になろうとしている。

米国の“テクノロジー覇権”に陰り 止まらない中国のイノベーション

 米国経済が疲弊していることもあり、コロナ禍への報復をめぐる対中制裁関税については、実行を疑う見方もある。こうしなかでファーウェイへの制裁が強化された背景には、米国の“テクノロジー覇権”が脅かされていることがある。

 世界知的所有権機関(WIP)が4月に発表したデータによると、19年の国際特許出願件数は、中国が初めて米国を抜き、世界1位となった。国際特許出願制度の運用開始から約40年にわたり1位を維持していた米国だが、ついにトップの座を譲り渡した。

国際特許の出願者トップ10

出所:世界知的所有権機関(WIPO)より、内藤証券作成