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中国証券市場の対外開放が進む、海外投資家のA株投資は一層拡大へ

  1. 当局はQFII・RQFIIの投資枠撤廃を再確認し、証券市場のさらなる開放を表明
  2. 海外投資家のA株投資は証券市場の開放とともに拡大し、ますます存在感が高まっている
  3. 海外投資家の選好銘柄は業種別で、医薬・医療機器、銀行、食料品、家電・家具等が目立つ

当局はQFII・RQFIIの投資枠撤廃を再確認し、証券市場のさらなる開放を表明

 新型肺炎の収束時期や経済活動の再開状況に注目が集まっている中、中国当局は5月7日、適格海外機関投資家(QFII)・人民元適格海外機関投資家(RQFII)の投資枠撤廃を再確認した上、資金管理をめぐる要件を緩和する規則を発表した。金融市場のさらなる開放により、外資参入を一段と促すためと当局は説明した。

海外投資家のA株投資は証券市場の開放とともに拡大し、ますます存在感が高まっている

 QFIIとRQFII制度は証券市場の対外開放の一環として、それぞれ02年、11年に導入された。その後、数回の投資枠の引き上げを経て、19年9月に投資枠が撤廃された。QFIIとRQFII制度のライセンスを取得した海外機関投資家は、20年4月末時点でそれぞれ295社、227社となっている。QFIIのA株保有残高は、20年3月末に銀行や信託などを上回る規模となっている。

 QFIIよりも存在感を増してきているのは、上海・香港ストックコネクト(14年に導入)と深セン・香港ストックコネクト( 16年に導入)制度だ。特に1日当たりの投資上限額が引き上げられた(それぞれ130億から520億元に)18年5月以降、香港経由のA株投資はさらに規模を拡大し、20年3月末の保有残高が既に保険会社を上回っている。

新型肺炎の影響は一時的、海外投資家のA株投資は4月以降再び拡大へ

新型肺炎の感染拡大による影響を警戒し、20年3月に香港経由のA株投資は約679億の売り越しに。しかし、4月は約533億元の買い越しに転じた。なお、QFIIは3月と4月にそれぞれ11億6000万ドル、15億ドルの買い越し、RQFIIはそれぞれ約126億9000万元、6億5000万元の買い越しだった。

過去を振り返ってみると、香港経由のA株投資は、15年のチャイナショック時、19年の米中摩擦激化時も、大幅な売り越しを経験。しかし、いずれも短期間で買い越しに転じ、規模も拡大した。

新型肺炎の影響も一時的なものにとどまる公算が大きい。実際、4月以降、香港経由のA株投資は買越基調が続いている。感染第2波・第3波の懸念はあるが、感染拡大のピークは過ぎ、経済活動の再開が進んでいることが背景にあろう。中国国内では、今回のコロナ禍で中国資産が「避難先」になろうとの見方も浮上している。

海外投資家の選好銘柄は業種別で、医薬・医療機器、銀行、食料品、家電・家具等が目立つ

QFIIと香港経由のA株投資の保有残高トップ20銘柄をみると、業種別で医薬・医療機器、銀行、食料品、家電・家具等が目立つ。そのほかには、保険、建設資材、半導体、ソフトウェア、ITハードウェアなど。


出所:天天基金網、東方財富Choiceに基づき、内藤証券作成

注:①持ち株比率は流通株に対する比率、②銘柄コード「3」から始まる銘柄は創業板に上場している銘柄で当社では非取扱

香港経由のA株投資は4月に食料品、家電・家具等、ITハードウェア、医薬品が買われた

香港経由のA株投資の場合、4月の売買代金トップ10銘柄をみると、一部銘柄は売り越しだったが、全体的には買い優勢だった。業種別では食料品、家電・家具等、ITハードウェア、医薬品の買い越しが目立つ。


出所:香港証券取引所に基づき、内藤証券作成

注:①売買差額:プラスは買い越し、マイナスは売り越し、②銘柄コード「3」から始まる銘柄は創業板に上場している銘柄で当社では非取扱