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【中国株レポート】湖北沙隆達(フーベイサノンダ、200553)

09.02.18

中国農薬業界のリーディングカンパニー

 農薬業界で最初にA株とB株ともに上場を果たしたリーディングカンパニー。有機リン系の農薬、化学工業製品などを製造・販売する。主力製品は除草剤のパラコート、グリホサート、殺虫剤のジクロロホスなどの農薬(08年6月中間期の売上比率73.6%)と、苛性ソーダ、スペルミンなどの化学工業製品(同22.9%)。製品構成は豊富で、国内農薬市場でトップクラスのシェアを持つ。20以上の国・地域に拠点をもち輸出高は業界上位にランクされるほか、独バイエル社とも事業提携している。1958年に設立された国営企業を前身とする老舗で、湖北省を地盤とする。実質支配者は中央企業で国内化学大手の中国化工集団公司。

08年の業績は大幅増益に

 08年6月中間期の売上高は前年同期比で38.7%増、純利益は同405.0%増となった。1-9月期も同451.0%増益。景気後退を背景に08年通年の業績見通しを下方修正する企業が多いなか、同社は当初前年比で50%の増益見通しを公表していたが、1月20日に450~500%の大幅増益に上方修正するなど、08年の業績は好調であったとみられる。

 大幅増益の主因は、輸出拡大と粗利益率の上昇。中間期の輸出売上高は前年同期に比べ76.0%の急増となり、全体の4割を占めた。国内販売も同21.2%増収と堅調。世界的に農薬生産の中国シフトが進むなか、同期は穀物需要の増加・価格上昇が追い風となり、農薬の需要が増加。強固な販売網などを活かし、バイエル社向けの輸出をほぼ倍増させるなど、輸出を伸ばした。

 主要事業の粗利益率は前年同期に比べ+6.7ポイントの22.4%に上昇。製品構成の改善とコスト削減が奏功した。実質支配者の支援を受け、製造ラインの新設・拡張を実施。競合が激しい国内市場で、同社は原薬分野に強いほか、技術・品質面での優位性がプラスに働いた。さらに主要原材料の一部を自社の化学工業製品部門から調達できるほか、主要原材料であるリン鉱石の産地に近く、調達環境が有利であることもコスト削減につながった。

需要不足のマイナス要素も限定的

 景気後退を背景とする国内外の需要不足・供給過剰、これによる価格下落などが懸念材料であるが、マイナス影響も限定的であるとみられる。国内外問わず、生活必需品である農作物の生産に必要な農薬の需要は不景気への抵抗力が強い。さらに生産コストに占める農薬の割合が小さいことなどから、農民の買い控えも可能性が低いといえるからだ。

輸出振興、業界再編、農業重視の政策が今後の追い風に

 08年12月に一部の農薬について、政府は輸出税還付率を引き上げた。これは世界最大の生産国である中国の農薬輸出を促進させる効果があろう。さらに遺伝子組み換え作物の普及などで今後も需要拡大が見込まれるグリホサートについて、これまで年産能力5000トンと規模が小さかったが、同社はグループ会社の支援を受けて年産能力を2万トンに引き上げる見込み。さらにグループ会社と共同でのグリホサートの原料生産のほか、生産規模の拡大に合わせコスト削減を見込める発電・熱供給プラントなど、複数のプロジェクトも進行中。これらは同社の国内外での業績拡大に寄与しよう。

 政府主導の農薬業界再編、農業振興策も、業界大手である同社にとって追い風になるといえる。集約度の低さ、過当競争、低品質、環境汚染など、業界が抱える問題を解決するために、政府は参入障壁を引き上げ、環境調和型農薬へのシフト、優良企業への資源集約化、支援などの業界再編を進めている。同社はこれらの恩恵を享受できる環境にあろう。さらに最重要の政策を示す「中央一号文件」で、政府は09年も引き続き農業の振興を掲げた。安定的な収穫、農民所得の引き上げ、農村インフラの整備、農業の集団・現代化などを目指す政府の強い意志は、農業の底上げを通じて、農薬の需要増加につながる。加えて同社は中国有数の稲作地帯である湖北省を地盤とする農薬業界のリーディングカンパニーでもあり、中長期的にも今後の成長余地は大きいと考えられる。

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